ミツバチ便り
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まだ青きトマト湯がいて皮剥けば香り顔出す小さき夏は
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わたくしに夢があったか忘れたが夏に向かってひまわり植える
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あんなにも輝いているあの星が嘘みたいもう尽きてるなんて
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桔梗挿す花器は静かに受け入れて茜さす夕 美の確かさよ
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紫陽花は雨を愛する花だから包み込んでよ雲も涙も
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タッパーの器とふたの大きさがいちいち合わぬわたしの運命
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母になり亡き母の気持ちよくわかる母って案外ずるしますよね
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降りてゆく蒼いとばりが日中の熱を溶かして素足に優しい
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夕暮れは窓から銀河のお祭りで踊る幼き君が入りおり
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想い出は寝たり覚めたり猫のよう愛しく撫でて抱きしめてみたり
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若草を噛めば想像した通り青い苦味でくらくらとする
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地獄への道は善意で舗装され 芋虫忘れ蝶は舞うだけ
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申し訳御座いませんと頭下げ垂れた毛先と我の膝見る
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大粒の雨に打たれて夏はきて亜麻色の手で空気をゆでる
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カップふち指で摘んで渡されて心泡立つコンビニコーヒー
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わたくしの心は誰にも明かさない正しいだけの青空なんか
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母なのに義父の介護もしてたのに父の前では幼いわたし
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君の名の五文字に想いはぎゅうぎゅうで母の想いと父の想いで
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五月雨は天使がくれるティータイム芝の水やりさぼらせてくれる
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花びらの散りゆく数は限りなき 葉桜愛でたし歳とるもよし
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たたまれた翼は透けるような白 遥か未来を羽ばたけ君は
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ありがとうただただ君が我が子だと想えば熱き涙とまらず
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おむすびは祈る家族の一日を 今年初めて蝶が横切る
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月冴えて暁の空背景に義母の腫瘍と向き合う夕べ
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スマホには行くことのない場所があり 美しくあり醜くもあり
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透明が弾けるように笑いあう子らの制服若草の香
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折り畳み持たぬ我が子を気に留めてそわそわとする曇天の夕
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ママ友ら吐き出す自尊感情のグループライン退室す春
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古ぼけたアンパンマンのかばん見て若き私が私に微笑む
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卯の月やふあんふあんと風が撫で出逢いは不安不安で苦手
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