ミツバチ便り
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洗濯機回り続ける水眺む そんな気持ちで走る息子見る
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死神を騙す男の落語聴き白髪を染めるわれ誰騙す
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ゆうべ見た夢のつづきとまごうほど百合に集いし蝶々の宴
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月光はカサブランカを香らせて真みずのような純な白さも
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そぼ濡れて帰りし我が子の制服を干せば雨よりひなたの匂い
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キッチンに入る夕陽でカレー煮る「今朝はごめんね」言ってみようか
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美しく老いるだなんて嘘なのよ ほらあなた見て上弦の月
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扇子出し扇ぎ笑ってお喋りし小さな嘘も畳んで仕舞う
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やわらかくつぼみほどいた紅い薔薇浅く目覚めて朝日を見てる
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まだ青きトマト湯がいて皮剥けば香り顔出す小さき夏は
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わたくしに夢があったか忘れたが夏に向かってひまわり植える
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あんなにも輝いているあの星が嘘みたいもう尽きてるなんて
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桔梗挿す花器は静かに受け入れて茜さす夕 美の確かさよ
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紫陽花は雨を愛する花だから包み込んでよ雲も涙も
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タッパーの器とふたの大きさがいちいち合わぬわたしの運命
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母になり亡き母の気持ちよくわかる母って案外ずるしますよね
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降りてゆく蒼いとばりが日中の熱を溶かして素足に優しい
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夕暮れは窓から銀河のお祭りで踊る幼き君が入りおり
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想い出は寝たり覚めたり猫のよう愛しく撫でて抱きしめてみたり
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若草を噛めば想像した通り青い苦味でくらくらとする
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地獄への道は善意で舗装され 芋虫忘れ蝶は舞うだけ
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申し訳御座いませんと頭下げ垂れた毛先と我の膝見る
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大粒の雨に打たれて夏はきて亜麻色の手で空気をゆでる
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カップふち指で摘んで渡されて心泡立つコンビニコーヒー
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わたくしの心は誰にも明かさない正しいだけの青空なんか
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母なのに義父の介護もしてたのに父の前では幼いわたし
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君の名の五文字に想いはぎゅうぎゅうで母の想いと父の想いで
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五月雨は天使がくれるティータイム芝の水やりさぼらせてくれる
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花びらの散りゆく数は限りなき 葉桜愛でたし歳とるもよし
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たたまれた翼は透けるような白 遥か未来を羽ばたけ君は
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