Utakata
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ミツバチ便り
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折り畳み持たぬ我が子を気に留めてそわそわとする曇天の夕
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ママ友ら吐き出す自尊感情のグループライン退室す春
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古ぼけたアンパンマンのかばん見て若き私が私に微笑む
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卯の月やふあんふあんと風が撫で出逢いは不安不安で苦手
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山の尾根近くに見えて明瞭に今日から春と心に決める
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好きなとこ百個言ってくゲームして四つ目あたりで口籠もる子よ
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夕焼けを抱きしめました手を広げ駆け寄ってくる子の背中ごと
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萌ゆる朝窓辺見ながら春を着る薄手エプロン鍋が鳴ってる
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ドア開けて恥ずかしそうに笑いつつ「髪切ってきた」の君が愛しい
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木の匙は唇嬉しとろけてるヴァニラ冷ややかおつかれ わたし
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母親の無償の愛を御所望で 母も人だとお忘れですか
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息白く空に舞う雪ひらひらとわたしの肩にそっと降りたつ
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大いなる罪悪感を飲み込んで冷凍グラタン手作りと出す
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亡き母のバッグ開けると押し花の栞に青で「ありがとうね」と
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芳醇な香りがあったコルクからあの日のことは想い出と聴く
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物置の隅にぞうさんじょうろあり 幼き息子に抱きしめられる
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IH
(
アイエイチ
)
ふむ なるほどね 主婦はみな愛と叡智で家族支えて
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近いうち君に粗末に捨てられよう 望むところと虚勢を張って
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祖母が住むホームの天窓見上げたら そうねこんなに冬だったのね
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音楽の教師になれず今はただ焼くか茹でるか卵見つめる
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あなたの字 弘法大師譲りかも誰も読めない母しか読めない
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揺らぎ舞う羽根は命か月の子か産まれ落つ蝶 積もれば雪か
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熱を出しこの子が家にいる今日は我が家が知らぬ家の顔する
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出逢えた日それは記念日私より背が高くなり見上げてもまだ
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溢れ出しあなたが溺れてしまわぬよう両手を胸に母は見守る
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学校の評価を聞くと誠実で 牛肉を切るナイフなような子
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今月の家計簿つけてる最中に ふと思い出す高い小説
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十年の昔に乗った或る遊具 息子の靴はまだ小さくて
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