ミツバチ便り
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もう少しもう少しだと筆は言うリモート前のリップラインは
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クロゼット隅に刀が眠りおり「とお」と振ったら散れる折り紙
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雪の朝友が逝き葬儀は無しと 心で通夜すコロナ恨みつ
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大きくて温かだった父の背は愛と哀とを教えてくれる
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雪、雪、も傘などささぬ彼の地では 半袖まぶしカーリング女子
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姑を「いい義母ははなのよ」というたびに私の寿命一年のびろ
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切りすぎた前髪つまみ気にしないふりができるわ母親だもの
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マフラーに六花が咲いて息で溶け昼の白月おとなしく消ゆ
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茶だんすの奥に未封の赤ワイン今夜飲もうか一人飲もうか
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真っ白な雪のかたちの帽子あり朝焼けが降るなだらかな丘
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テレビつけカボチャの種を煎っている冬の時間は夏より長い
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目標は自分の機嫌をとれること手話であらわす「雪」を眺めつ
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わはははと漫画のように笑ってる座椅子の義父の在りし日想う
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息をして一万八千日生きた誰にも言わぬ寂しさにいる
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占いで伸るか反るかを語ってもあの過ちは言わず当たらず
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スティックになったシュガーの記憶にはまだあるかしら「てん菜だった」と
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ベランダで触れてみたくて星のかど手を伸ばしたりつま先立ったり
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額の目が雑多を超えて追っている寝癖のついたままのうちの子
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カーテンが雪と冷たい風招きあわててお供してきた朝陽
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巻きつくも枯れてゆくのも意のままにきっとならずに生きたアサガオ
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「挨拶は親の躾の基本です」ほどけないほど縛られてゆく
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白い息インターホンでもよく見える 子が巣立つなら冬の朝がいい
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クレヨンで家族を描いたあの頃は花は枯れても散るとは知らず
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わたくしに財布預ける姑のパフォーマンスに嫌気がさして
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瓶に挿すダリアが散って枯れている窓辺の刻は気付かず流れ
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美しい老いなどないわ相対性理論が証明してるじゃないの
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逢いたくてアルバム広げもの言わぬ家族友達寂しさ去りぬ
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病い得て幼児にかえる姑は哀しみ憐み愛しみも似て
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雪道に張り付く紅葉ぱらぱらと秋のパズルが外れるように
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蜻蛉がとんでもひらく自動ドアこの魂にちょうどいんだわ
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