Utakata
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ミツバチ便り
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わはははと漫画のように笑ってる座椅子の義父の在りし日想う
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息をして
一万八千
日生きた誰にも言わぬ寂しさにいる
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占いで伸るか反るかを語ってもあの過ちは言わず当たらず
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スティックになったシュガーの記憶にはまだあるかしら「てん菜だった」と
6
ベランダで触れてみたくて星のかど手を伸ばしたりつま先立ったり
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額の目が雑多を超えて追っている寝癖のついたままのうちの子
7
カーテンが雪と冷たい風招きあわててお供してきた朝陽
8
巻きつくも枯れてゆくのも意のままにきっとならずに生きたアサガオ
5
「挨拶は親の躾の基本です」ほどけないほど縛られてゆく
6
白い息インターホンでもよく見える 子が巣立つなら冬の朝がいい
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クレヨンで家族を描いたあの頃は花は枯れても散るとは知らず
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わたくしに財布預ける姑のパフォーマンスに嫌気がさして
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瓶に挿すダリアが散って枯れている窓辺の刻は気付かず流れ
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美しい老いなどないわ相対性理論が証明してるじゃないの
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逢いたくてアルバム広げもの言わぬ家族友達寂しさ去りぬ
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病い得て幼児にかえる姑は哀しみ憐み愛しみも似て
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雪道に張り付く紅葉ぱらぱらと秋のパズルが外れるように
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蜻蛉がとんでもひらく自動ドアこの魂にちょうどいんだわ
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やっぱりね待っても来ないキシリッシュとっくに味が抜けてしまったわ
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飛行機のお腹を眺む夕暮れはカレーの匂いで我を鎮める
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わたくしの祈りが宿り手塩かけまばゆく育てば「きらい」と言われ
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心にも使い捨てカイロ貼ったなら「あったけぇ」って微笑むかしら
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この街で老いてゆくのね枯れ芝生ホットカルピスおかわりします
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降る雪のためにタイヤを交換す「白い妖精」などは降らない
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皮硬く噛んでも甘味のないトマト考えて喰む死ぬということ
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靴下の左右が微妙に違う色そういう男子が意外と好きだ
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ご破算にしましょう今朝の口げんか「ごめん」の代わりに今夜はシチュウ
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「ありがとう、でも僕一人でできるから」ほっぺを寄せるあなたはいない
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揺れそよぐすすき穂とまる赤とんぼ飛べ空よりもまだ空の上
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さんざめく月の光も甘やかにルソーの夢に見られ紅塗る
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