屁の河童
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ただの河童です。異端短歌、略して「異短」です。「お前まだいたんか」と言われたいです。
短歌は楽しき玩具。
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紫の滝かと見えて川の面に咲きかかりたる岸の藤浪
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奥山の岩垣躑躅いはがきつつじ何しかも知れぬ思の色に咲くらむ
7
高砂の松もあはれと思へかし友に遅れて老ゆるこの身を
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裏飯屋昼に行ったら廃屋に欠けた茶碗と錆びた鍋釜
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野晒しの溜まった水に雲映る秋は芒が穂を出す眼窩
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骸骨が踊るよ踊るよ廃屋の破れ窓から差し込む月に
6
自供する罪がないのが残念に思えるような断崖絶壁
7
次々と顔からマスク外されて再び街にブスがあふれる
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願はくは井手のかはづに身をなして山吹の花散るまでも見む
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款冬やまぶきや影映すらむ汲みに行く道は知られぬ山の清水に
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杜若かきつばた都は遠く隔つれど夢路に渡せ八橋の里
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散り積みし八重の桜のあともなし奈良のいしずゑ春雨ぞ打つ
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肉に箸付けられないよ闇鍋に呼ばれないのに佐川君来て
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もろこしへ船路はるかに霞むめり松浦の浜の春の曙
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志賀の山むなしき枝に雲過ぎて花園いづら夢のふる里
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かはづ鳴く井手の玉川来てみれば散らで映ろふ岸の山吹
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散りぬれば花に厭ひし松風とともに深山にすむ心かな
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花散りて人も稀なるみ吉野の日暮れもの憂き鳥の一声
9
いざ我もかしらの雪をそれと見て桜の盛り浮かれ暮らさむ
5
浪越すと見えしは夢か幻か花散り果つる末の松山
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滝の上に咲ける桜の散り来れば落つる白波色増さりけり
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狩り暮らす交野かたのの御野の花吹雪夢かとぞ思ふ盛一時
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折らずとも残る花かは人よりも風を咎めよ春の山守
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去年こぞの春散り交ふひまほの見てし面影恋し花の下陰
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春はただこの一時ひとときの名なりけり桜天霧あまぎる曙の空
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桜花散りひ曇る高嶺より霞の空に出づる月影
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空もに舞ひ散る見れば佐保姫の春の衣は桜なりけり
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宮跡は荒れし長等の山風に吹雪も匂ふ春の花園
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山風や空に知るらむ散り果つる花のゆくへと春の泊まりを
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さざなみの志賀の花園答へねど幾世の春を咲き継ぎぬらむ
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