川野三郎
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歌人であるよりも、三十一文字の詩人でありたい。
かつて朔太郎曰く「詩はただ、病める魂の所有者と孤独者との寂しいなぐさめ」と……

うかばれむ 身はとこしへにくちぬとも 世界のどこかにあなたがいれば
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恋バナに花を咲かせていたるどち 百年のちはみんな墓場よ
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寒さへとおつる速度を秋といふ 毛布に思はず抱きついた夜
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たいそうな文明批評は立派だが、元気なくなる。西部邁よ/「虚無の構造」読了
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上の句は言葉にならぬ思いです 小箱のうちにしまう思い出
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私とは誰であろうか おいっそこの誰か 名前をよびかけてくれ
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このつらき思ひもやがて歌となり はばたいてゆくときを待ちつつ
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感情はこころいろどる模様かな よろこび哀しみ 引きつれてゆく
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しあはせを見せつけられてしまっては ゆくあてなくて夜半にあくがる
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見おろしたながめおそろし 透明な天狗の下駄で空中散歩
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資本主義したたる水のとだえなば つきなむ命は歌にそそがむ
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資本主義したたる水にありついて三十一文字をなぐさめとする
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なにものであるもあらぬもおしきせの個性はいらぬ 僕はオレゆゑ
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そのままのこの世のほかの真実は 神も仏も比喩とこそ知れ
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玉の緒のあふるるほどに好きですとつたへたくとも もはやとどかぬ
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身を捨つるほどの祖国を問ひし人よ はるか昭和にたちこむる霧
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ゆるゆると秋ふかまりて 月みちて こぼれおつるはさらさらと砂
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チュンチュンと鳴くすずめどち よく聞くと おなじチュンでもちょっと違うね
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いつのまにまどろんだのか 言の葉をすくはんとして 秋の夜長に
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ギャラリーのかげのすくないラウンジに もはやさびしきいいね互助会
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母上をお墓にしまへばそれまでの命と思へどまだ先とほし
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連投にわりこみたいな タイムライン 栞のように一首さしこむ
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ありふれたくらしになにげない歌を見つけてゆくをなぐさめとして
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恋やぶれ更地となったこころです。ぺんぺん草でも生えてください
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白鷺城、オフ会待ったなし。オレもオンラインうたかたにて見守りませう
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ながらへん 酸いも甘いもかみわけて ころもかたしく吾がふしどまで
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うつむいて肩をすぼめた人ありし 座席の隅でべっぴんさんが
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弁償の義務にはあらず。焦点は、愛すや否やの心意気なり>栗菓子顛末
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もうすこし好きなままでもいいですか フォトの向こうに問いかけてみる
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昭和からぬけだしてきた会社員 眉毛すっきり そこは令和か
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