氷山
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436

詩のことばをつかえるようになりたいです

したたかな私の髪が逆にもうヘアブラシの毛をかしている
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手に負える歌はわたしの歳の数 二十一首を冊子にこめた
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歌でない歌があるのが恥ずかしく選歌集など編んでねむった
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誰も彼も子どもを崖っぷちに追う社会に張った網になりたし
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だいじょうぶ だいじょうぶだよ 頼りない大人が言えることはそれだけ
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クーラーをかけて餃子を食べた部屋 実家の匂いに似て少し泣く
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生涯をかけて貴女の時折の嬉しさになることだけを請う
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ふたりだと珍事ばっかり起きるけど楽しかったね、ふたりだからね
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一緒ならどんなぽかでも愛しくて笑い転げる秋雨あきさめの下
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先輩がいるからまともなふりをする 片付けとかは得意ではない
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分からないことがうれしい 老いた後拾えるものが増えていくから
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積雲のうしろに流る鱗雲 夏が秋へとバトンを渡す
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わたしたちみんな光なわけだからきみも煌めく色違いだよ
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せんせいが怪訝けげんな顔をしたわけを今更に知る書架の隅っこ
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さざ波のとおく向こうの水平のかすみの淵にあなたがれる
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目くじらもふっと緩んで眠くなるくらいほどよい秋の風だよ
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少しだけ一緒に待とう、夜明けまで 日が昇ってもまだ夜とする
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いつの日か「頑張らないのが大事」さえ理解する日が来るのだろうか
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人生は伏線拾いだとすればまだ拾えない線が気になる
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快晴をつむじに浴びて泣きながら歩くわたしとちいさなミュール
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生きるたび変わってしまうわたしでも朝な夕なにあなたを愛す
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もがくのも苦しいだろう 悪いけど少し早めにいのちを覆う
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どこまでもでっかい月が追いかけてくるんだ母さん、兎もいるよ
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観客の拍手の音は楽屋から漏れ出す怒号をのみこんでいく
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触れないでいれば在るかも分からないはずだからもう返事はしない
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空蝉にあつまる蟻を見下ろしたわたしはかてを待つだけの雛
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どんな子も自由に生きられる家の床束ゆかづかになる覚悟ができた
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たらちねのあなたを撫で返せるだけの立派な腕を賜りしこと
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べつに神様じゃないけど願掛けに愛する人の写真を飾る
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逃げて逃げ疲れた隙間に勉学をすべりこませる姑息な日ごと
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