刺草キロ
69
59
投稿数
1742

シニアスタッフの営業マンです。同性同世代の歌に特に反応してしまいます。また、にわか相撲ファンです。

似ているね なにも関係ないはずの あったら怖い躑躅と髑髏
12
つつじより少し地味なるさつき花 堅気娘の矜持保てり
17
保護者などいないと気がついた あの四月から「自由」は秒を刻んだ
10
おぼろとは限らぬものよ春の月 けふこの夜には冴え冴えとして
19
深海の光を集め茹でられて ほたるのいかは噛まれてはじけ
16
釜揚げの ぷっとふくれた蛍烏賊 噛みはじけるは深海みうみの香り(改)
9
ぬか床が人肌ほどに温もりて 季節の進む兆しをで知る
29
留守番のご褒美ほおばるうちの亀 彼の好物シャケのお刺身
16
生命を省エネモードに切り替えて 亀は黙って留守居をはたし
17
飼い主が所用で五日家を空け 亀は留守番なにも食べずに
13
担いだり前抱きしたり降ろしたり 意外に不便なリュックのかばん
22
この春も咲き散り終へし桜木に 名残惜しむや残花一輪
17
川風に身をふるわせて花は散り 芽吹く翠に座をあけわたし
20
葉桜は興ざめなりと人の言ふ そはそれなりの見方ありなむ
13
山笑ふ はにかむ娘の歯のような 華やぎ控えめ山こぶしかな
15
甲烏賊の薄身ほどけて海に溶け 紡錘形の骨は波間に
8
氷見の浜 打ち上げられし芥にも 白々光る甲烏賊の骨
12
花咲くも氷見の日暮れは風冷えて 指の骨まで腋に包みつ
16
古書読めば文語の言葉のリズム乗り 慣れるにつれて江戸にアクセス
14
付き添って「長谷川式」のテスト受け あれっ思い出せない俺も、に愕然
15
体力を使い果たして墜ち消ゆる 雲雀は休む草葉の陰で
15
枯れ木々の芽吹きも花も気配なく なお山眠る上信越道
19
太陽の女神を祖とする皇統が 女系はならぬと言い張る不思議
18
その昔 新幹線の運転士 義父は施設の箱車に乗せられ
13
ご自慢の茄子も胡瓜も作れない 義父は施設の箱に入れられ
12
明日の昼 義父を施設に運ぶ役 獄卒のよな婿だな俺は
12
来てみれば不忍池は人盛り 花見は近所の桜がよろし
25
新年度 目のやり場に困るのは 膝上丈のタイトスカート
11
花なんぞかてにもならぬと無愛想に キンクロハジロ丸く浮かんで
12
川風でなお四分咲きや土手桜 ゆるゆるとした時の解凍
16