干寝区礼男
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言葉の驚異、それを短歌でなすのなら、短歌を超えた、超短歌といえる

思い切り弓を引きしぼり矢を放つ先の見えない風に向かって
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はじまりは終わりでもあり あの初夏は 呪いのようだが過去に過ぎない
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ピョンピョンと小躍りしたくなる日々は いつもグラスの中で逆さま
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冷え切った希望のひびから湧き出でる電気のようなそれは何でしょ?
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あんなにも遠くの空に沁みわたる色で歌った皆の鶯
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今朝菅が外出ダメって言ったから四月二十日はコロナ記念日
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言いかけた言葉が胸に突き刺さる 恋は一種の拷問なので
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ああまただコイツが当選(う)かる選挙区(まち)がある愚かさこそが権力になる
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入管の留学生は放置死し、犬・猫・蜥蜴は救われる国
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攻めてなきゃ生きた心地がしないんだ 部屋にこもって発酵してな
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飛行機も高速道路の自動車も興味すらなく我通り過ぐ
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ヤロー共 矛盾とデートのお時間だ 死んでも生きろ アウフヘーベン
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新鮮なフルーツタルトは神ですが、われの正義は豆寒天に在り
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ドラゴンの夢をギリギリ引きつけてバット振り抜く大人の時代
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「お父様」娘から叱られる予感しか無い呼びかけが来る
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真っ暗な夜空にひとつ星を持つ者の後ろに道が有るでしょう
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グルグルとかすりもせずに見もせずにやるせない夜のわたしの言葉
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湯気こもるうす水色の浴室の時の滴の落ちる剃刀
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きみがふと「相性いいね、SFと」ていったら手がぷるぷるふるえた
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The winter is burning 犯された街よ子供よ真っ当な日々よ
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暁の窓の無数の露にない暗い絆を求めて止まぬ
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タコ焼きの一口目は熱くって一家そろってハフハフしてる
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雑巾の匂いする手で腰伸ばしなんてキレイな青空なんだ
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ふくよかな線で書ければ良いけれど性根のままの痩せた字でした
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思い出は消毒液を泳いでたエントランスの回遊魚の下
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虚無よ虚無、いつあの子から北極の、輝く白い鳩を盗んだ?
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人生にインストールされている意識という名のアプリケーション
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根を捨てて幹を捨てても生き残り夜空と凍る家とヤドリギ
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悲しみの来た翌朝は必ずといっていいほど裏切った空
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車から時代を見れば交差点ヘッドライトに歩く人影
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