干寝区礼男
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言葉の驚異、それを短歌でなすのなら、短歌を超えた、超短歌といえる

やわらかく脆いものだけあつめたら世界でしたよ今日は寒いね
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少しずつ高く遠くへ去る雲を巨人のようなビルと見送る
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モニターで重油にもがく海鳥の海ここもあり狂うまであり
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午前2時ねむりゆく闇やすらかにタールの夢と戯れる人生とき
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運動会うすぼんやりと太鼓の音さまよう雲を眺めて過ごす
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悲しみはオセロのように灰色の空とあなたは真冬並みです
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柔らかく秋の日差しの射している手に何も無くただ怒り湧く
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歌うたい働き歌い働いて畑や空で歌った祖父母
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真っ直ぐな気骨を秋に 一本の香りを遺す宇宙と化して
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閉じた目に二つ分裂したIDイドがぷるぷる震えロシア旅立つ
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久々の星降る夜にただひとり人工呼吸器カップヌードル
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ホームレスみたいに冬をうたいたい月と誇りと自由の心で
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こおろぎのオレが籠から水槽に籠をしずめる俺を見ている
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真夜中のケンタッキーはもやの中 ホムンクルスがハンマー投げする
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緑林のギャルは宇宙のメル友でSNSは黄河の流れ
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「巫山戯るな」「悪趣味な奴」「冒瀆だ」優美な鳥の籠の中から
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ひたひたと雨の降る日は声だけが響き寂しい海月になりたい
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赤の月、青の煙の、一族の、凍える目から冬が生まれる
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さらば地球アインシュタインタンジェント月天心にいたる角度で
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この街の道から少し浮遊したあるいは気化したまるい絶望
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青と白マーブル柄のスニーカー 少年少女はショパンの「ショ」
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汗ばんで可愛くないと思うからかえって発想が北斗七星
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空が澄みキレイな光ふりそそぐキラキラとしたトリガーを引く
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天井の壁の柱の玄関の木目が見てる石になるのを
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真っ暗な水面みなもの上を一筋の波紋ひろがるきみは無垢です
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一万円いきぐるしくて秋の空ゴミにはカラス鳴るキーボード
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すぅーっと、伸びて今にも切れそうな、女性ひととの関係、そして運命
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「六割の船員にげた船はどこ?」「海の底、だよ」開票所の猫
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沈黙しじまからうまれる星の海があり記憶の中に海馬という人
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クラゲもさ、まさか心も透けてちゃさ、フワフワしながら、頸も括るさ
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