miyaco
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詠むことでいくらかドラマチックなる似たり寄ったり唯一の私

わずかなる水掻きに溜まる海水がくすくす光った小さく強く
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悲しいと寂しいだけが最後まで無くならなくて虚しい朝顔
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さよならよ今だけ優しくそばに居て明日には何も残らないから
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指先にベタベタ残っているような溶けたアイスと昨日の思い出
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木陰から「じゃあな」と言って走り出す男児らの影夏のいろど
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遠き日の悲しみに今名が付いて川底でころり小石が動く
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適当に優しい温度で湯煎されどろどろになった恋に救いを
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「触るよ」と言われた言葉より早く私に届く肌の温もり
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愛してる 口からこぼれそうなのに口内炎が邪魔してごにょごにょ
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愛おしい私の全てを吸い込みたいって言ってる空気清浄機
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夢を見るいとまも無いほど懐かしい右目からのみこぼれる海水
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コンタクト外しておぼろなこの世界君が微笑む柔らかな夜
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大丈夫ひとちた指先がそっと寄り添う蕁麻疹じんましんの粒
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低気圧私を悩ます鈍色にびいろの痛みが明日の紫陽花となり
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唇が触れるまでは永遠を願っていたけどキャンセルさせて
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思い出が遠く遠くになりすぎて君との歌はついぞ詠めない
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手を洗いハンドクリームを塗り込んですぐまた洗い、を繰り返してる
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涙にはならないほどの悲しみをそっと吐き出す口笛に乗せて
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あの部屋のカレンダーは7月のままで明日を待ちわびている
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深海を歩いたような気がしてる 昨日のような、前世かもな
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網戸越しに見える洗濯物と風 物言いたげに夕日が沈む
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薬にも毒にもならないものたちを手放すこともできずに過ごす
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寝静まる街の底より見上げては祈りを託す星の目を見て
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もう少し夜風の中を歩こうよ今日で全てが終わるかもだし
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世界中震え恐れる幾月か二度とは会えぬ君尚遠し
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ゴミ箱にくしゃりと投げたレシートに感じるコーヒー二杯の重み
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したい事たくさん増えに増えすぎて体がぜて飛んでいきそう
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目を見れば分かる恋をしていると私の事が憎いってことも
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目に見えぬけれどもそこにあるものは 神とオバケと愛、それ以外
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健やかに生きるではなくこの時を乗り越える為にただ食う我が身
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