Utakata
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赤月 宙
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傷口を わざわざさらす 理由はない だからわたしは 口を閉ざすわ
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自由律短歌を何首 詠んだとて 自由になれたためしなどない
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僕だけが いない街です 僕だけが ただ僕だけが いない街です
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魂を 自らの手で 研磨して 濡れて輝く 悲しきダイヤ
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あまりにも まぶしくひかり つぶれた目 故に呼ばれる “恋は盲目”
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沈黙が 風が通りすぎてゆく おそらくもっと、大事なものも
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カーストの てっぺんにいるやつらには そもそも下など見えてはいない
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空色の 石を眺めて 僕はせめて 遠くの君の 無事を願うよ
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栞など 使わないなと思ってた 大人になるって すこしさみしい
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このスマホ もちろんロックはかけてある だがお前なら 開けるかもな
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図書館の返却期限を迎えても 読みきれない本、俺の無力さ
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閉ざされた 無垢な善意に 潰されて 押し花にすら なれない枯れ木
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生きよう、と 言ってくれても 最後まで 止血をしてはくれないくせに
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もうだめだ 逝こうと決めて その淵に 立つが光に呼び戻されて
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すっぴんで いていいですよ と許される場所など結局 ないのだろうが
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駄目もとで お願いしたけど バクさんも 僕という
虫
(
バグ
)
は 食えないらしい
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身体とか 責務だとかに 縛られて 歌うときだけ自由な貴方
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君の声さえ知らなければ 生きること 苦しいだとか知らずに済んだ
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あまい笑み むずかる僕に 含ませて
明日
(
あす
)
もひとりで 歩けというの
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「僕はもう 守るものなどない」 だとか 云うなら僕が 貴方を守る
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「生きていろ」 お前は生きてていいんだ、と 祈り塗り込む ハンドクリーム
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新しく 変わった君のメルアドの イニシャルの意味を 察したくない
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祈るとき 花が咲いてるように見える ピンクベージュの 君の指さき
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いつまでも 君の目と手が 熱いから ぼくはおにぎりを うまく握れない
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出棺前ですか、も少し、待てませんか 今ならいい詩が、あぁ、駄目ですか
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出勤前 頭の中で刻んでた ライムがチャイムと 一緒に消えた
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君にだけ 教えてあげる、ほらわたし ここのとこだけ 窪んでるの
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わたしはね 自分で作るもののうち トマトスープが いっとう好きよ
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破いたら どうしようかと思うのは あなたの歌と 本の帯だけ
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上前を はねられてると 気づかない 白いピアノで ありたかった
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