灯屋
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学びの旅から帰ったら皆さんまた灯屋を迎えてくれる?

街灯は徐々に消えゆく左手に君の右手がなくて爪噛む
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ひしひしと打ち明けられた友の罪 僕は上手に聴けただろうか
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潜りこむプールの奥に銀色の光に刺され魚になりぬ
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「がんばれ」とライン返した僕の罪きっと彼にはもう届かない
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「ここ座れ」僕を隣に座らせたじいちゃんのいない3度目の夏
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気付かないふりをしていたあの時の俺の耳と目ちぎり捨てたい
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更地以前の景色浮かばず雨に打たれてたたずめば微毒なり
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サプライズ考えてなよトレンドは今からおさえておけよ 彦星
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水入れたコップに挿せば花ひらくそんな言葉を君にかけたい
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ぬき足でてんとう虫の歩む音 白紫陽花に歓迎されて
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跨ったサドルに雨の合間の陽 小さな太陽ごと漕いでゆく
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教室の窓に映りし僕の顔その上を叩く雨雨雨
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理科室の硬く冷たい木の椅子に優しく沁みる五月雨のこえ
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夕焼けが居残りしてる二十時に僕のパジャマは月を待ってる
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クリームかバターのようだ君の声口に入れるとたちまち溶ける
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朝焼けは浅い眠りをくり返し栞はさまずページはおどる
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窓開けて猫のはな息ほどの風入れても目には緑あふれて
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目覚めたらねこを百匹抱いていたような湿り気風くれぬ窓
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悪事する彼の横顔華やぎて認められない嫉妬してると
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舌の上転がしきれぬ感情を呑み込めもせず吐き出せもせず
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一輪の薔薇とぼくらの真心をお届けしますしっかり休んで
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万引きは犯罪ですの貼り紙で食い止められた人に逢いたい
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崖ふちで ふるえ佇み怯えてることはなきよう地球は丸だ
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教室の破れかけてるカーテンはいつか誰かの青春だった
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あじさいと雨がダンスをしていますそれを眺めるぼくとみつばち
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寿命超え生きとし生けるもの総てはじめから見てる月の光は
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ばれぬよう君の香りがするシャツを一番底で抱く洗濯機
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日暮れきてつんざく稲妻空を割る やめば仏間の菊の静けさ
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葉が茂る葡萄のつるを手でよけて腰伸ばす祖父 夏の入り口
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初夏はつなつの山から薄荷の香りする動物園に象はまだ居ぬ
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