Utakata
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灯屋
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学びの旅から帰ったら皆さんまた灯屋を迎えてくれる?
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指先で挟んだ頁は見せないよ 雪が本にも靴にも染みる
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奥底はネクタイとベルトに挟み今日も真顔で保つ日常
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顔も見ず「何階ですか」「五階です」知らない人と空近くゆく
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どうせならイヴが齧った林檎かな生まれ変わりができるならばね
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抱っこしたミィとくちづけした今は世界平和も望めてしまう
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「人生は暇潰しだよ死ぬまでの」鼻腔ひろげて言う話かね
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舌の根も乾かぬうちに語りだす君の薄くてきれいなことば
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Wi-Fiと電波を探し振ってみる向こうの人が手を振り返す
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悲しみをごまかすために食べ出したカツ丼美味いと思う哀しみ
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作り物みたいな月だ君はもう僕のすべてを忘れていいよ
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それでもだ あなたの海に登る陽は勇敢な光放てと祈る
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新聞は冷えたインクの匂いする玄関前は冬の入り口
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舌の上隠しておいたオムレットファミマスイーツ甘美な魔法
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更けてゆく夜にコンビニ向かうのは切ないからか星眺むためか
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くりかえす夜と夜との間には拳震える一日あって
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既読スルーしてしまったは僕の方交わり絶った指の痛みよ
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迂回せよ只今僕は工事中舗装されるまでもう少し待て
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セブン前友の奢りで日清のカップヌードル湯気までうまくて
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やわらかな雪のことばを風が聞き飛行機雲の行方はいかに
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上下巻旅をする気で頁めくるバスからの景色挿絵となりぬ
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霜柱踏まれさっくり音鳴らし何かを支えることもないまま
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からっ風の匂いする君その頰は雪の匂いもする君は季語
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うそをつく痛み無くして路地裏を歩み生きるかへのへのもへじ
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ばあちゃんの肺がん転移してないって爺ちゃんそっちで彼女できたな
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モテ話の友の自慢に耐え続けシャンプー中のミケの気分だ
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右手上げ星に向かってジャンプする十六歳の俺は無敵だ
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窓枠がうっすらと濡れ貝の鍋星の触れ合う音響かせて
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瞳から秋が溢れてしまわぬよう僕がいいよと言うまで閉じて
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金色のスプレー舞って冬を嗅ぐ籠に盛られた蜜柑むくゆび
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昨日まで君とみた空もう二度と同じ形の雲は流れず
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