月夜ぼたん
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ただ歌を詠むことが好きなおばあちゃんです。よろしくお願いします。

辛いこと 話してみれば少しだけ 楽になるのが心のシステム
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「サンタさん 園長せんせ なんだよ」と 耳でささやく 孫の複雑
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三月の 日差しのように 冬の日を 慰められる 我になれたら
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泣くほどの 辛さあるのに 見せもせず いつものあなたに 替わりに泣く我
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もういない 小さな人を 生むために 車は進む 息子夫婦の
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幼子の 頃の夢なり バスガイド 切符を切って バックで笛ふく
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本当の名前はかなり平凡で その名のような 平凡が好き
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腕いっぱい 抱えるほどの 白菜の 年輪のよな 優しさ食べる
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飛行機に 乗って知らない街に行き 市場の林檎を 一つ買いたし
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用意した 家族のための モーニング サラダ果物 トーストと愛
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「なんでやねん」教えた私が 悪いけど ツッコミ鋭く 孫にたじろぐ
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どうしてを 何万回も 繰り返す 今日の私は 無邪気なドングリ
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控えめで 無口で静かな人だった 自分の中に もう会えぬ父 
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風花に 白く霞むや 山の中 熊の親子の 抱き合う温度
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たこ焼きの 真ん丸のごと ころころと 軽く転がる 心になりたし
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好きなもの 一つあげよと言われたら 雪解けの日の フキノトウたち
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コンビニで 楽譜印刷 ソロ初級 ピアノの曲は 中島みゆき
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ため息が 心を撫でる やんわりと 辛さで熱い 傷なぐさめて
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カシオペア 探して見上ぐ 冬空の 私も一人 あなたも一人
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できるなら 我の寿命を 与えたき 生まれず逝った 十六週の子
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胎内の 小さき命 星になり ママの涙に 浮かんで光る
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知らぬ間に歩かされたる道のあり 歩きたき道 静かに探す
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朝五時に 憂鬱で目覚め 窓開ける 肺まで届く 「大丈夫だよ」
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仏壇に 白菊の香の漂いて  今日誰の幸 祈るか迷う
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気付かれず 終わる物語はなしの幾千万 山あいの道 窓の外には
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アホらしい 吾を大切にせぬ吾が誰か 慰めるなど 百年早い
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峠道 ここそこにある白滝は 山の涙かため息か
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たくさんの美しき人出会いたり 東京にまた帰りたきかな
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夕暮れの店の珈琲グァテマラで シナモンのかをり 飲み込んでおり
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白樺の 細き枝もち 雪を待つ 折れはしないか 負けはしないか
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