Utakata
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主に二つの海を行き来してます
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紅き実の なれる木ぞ良し 南天に 千両、万両、
常盤山査子
(
ときわさんざし
)
0
いやな奴、嫌われ者で、みそっかす そういう人に 私はなりたい
0
世知辛い 自分のために 襟に挿す スミレ買おうか 牧神の午後
0
恋でなく 諦める人 またひとり 友人帳の 頁は少ない
0
朋友の 祝言挙げし 桐箪笥 仕舞いて久しき 古典を思ふ
0
衣服を見繕うことは 数多なる 可能性と見ゆ 眩暈起こしぬ
0
苦い潮の 寄せる
渚
(
なぎさ
)
に穴を掘る 何度も 波に 崩れて埋もれて
0
君よ君、 真幸くあれよと 願ひつつ すべてと別れ 我は征くなり
0
鮨詰めの電車の中で ひとしきり 声高き人に 耳を澄ませり
0
月の裏 残した心は 知らぬ間に 地球照にて 暗く輝く
1
戯れの様に 翔びけり つがいたる二羽の目白と
山茶花
(
さざんか
)
咲ける
1
窓に松
鵯
(
ひよどり
)
叫ぶ 襟口に手を差し 暖をとりたる講師
0
窓硝子 映してみたき
坦懐
(
たんかい
)
と 働く
己
(
おれ
)
の エプロン姿
0
寒椿 薄日も射さぬ 露地裏に 打ち捨てられし 赤きくず紙
0
幾たびに 自分の駄目さを思ひ知る 脱ぎ捨てられる 蛹なりまし
0
仰ぎ見る 人工衛星 あの空は まだ黄昏が 終わっていない
2
霜夜
(
しもよ
)
にて 星のしじまに 沁み渡る
Goldberg Variations
(
ゴールドベルグ・ヴァリエーションズ
)
2
神の樹に 成れる御方も
現世
(
うつしよ
)
の 風に惑へる
一葉
(
ひとは
)
なりけり
3
朒を食む 衆生に欺瞞と云ふ
使徒
(
ヒト
)
の 心のうちは 如何であるらむ
0
喧騒の街も 暮らしの
燈
(
ともしび
)
も 結び目得たり
初春
(
はつはる
)
の日に
1
紅白の 根菜などを 細やかに 細やかに切る
初春
(
はつはる
)
のため
0
ふくらかに 匂へる 風呂場に置きたりし 柚子の 徐々に腐りたるを
3
〈道〉と云ふ
居酒屋
(
タヴァン
)
に 飾れる 肖像の
道化女優
(
ジェルソミーナ
)
は 喇叭を吹けり
1
「本物の貴方は何処に?」
虚像
(
イメージ
)
を 無限反射す
鏡地獄
(
シミュレーショニズム
)
2
苦しみが 君が一世の神髄で あるべきなどと 言えるか莫迦か
2
信号機 横立つ人の 外套の 綻びたるを
愛
(
かな
)
しと思ひ
1
麦酒
(
ビール
)
以て 赤らむ顔の おれを褒め
詰
(
なじ
)
れる友は とくと笑へり
0
桟橋で 踊れる
円舞曲
(
ワルツ
)
哄笑は 闇夜を抜けて 水面に溶けり
2
祈りなく 祝いし
降誕祭
(
クリスマス
)
にあれど
麵麭
(
ぱん
)
と
葡萄酒
(
わいん
)
は 食卓に在り
0
「
薔薇色の薔薇の樹の薔薇色の薔薇
(
プレヴェール「五月の歌」より
)
」 桃色の桃 百合色の、百合?
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