沢海 嵐川
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新潟の大学生 拙い歌があなたに届きますよう

嘘つきな暦は春と云うけれど、水道管の凍った夕暮れ
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20分後には出ていく夜行バス右手にバック左手に君
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傾いたOrionの上アルテミス重なってまた離れてく月
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彼方あちらにも咲いてるだろうか曼珠沙華 決して季節を違わない花
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降り立つと踵の骨がぶっ刺さるような気がする終電のホーム
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朝顔の様に君からツルが延び僕らの夏の観察日記
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貝ガラを右耳にそっとあてる君また来る夏の音を聴く様に
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夏休み冷房の切れた教室で君が爪弾くFmaj7エフメジャーセブン
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ファイナンス・リースのような青春の最後かもしれないこの夏休み
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裾少し折り上げ歩く砂浜の足跡は波と海へと帰る
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まっさらな夏をまとった君のこと秋にはきっと永遠とわにしてやる
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二人掛け電車の座席で寝る君の跳ねた前髪そっと手で梳く
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君の手を寄せる勇気が出ないのは繋げば僕が短絡ショートするから
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「夕立だ!」子どもみたいにはしゃぐ君今日は二人で濡れて帰ろう
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鈴懸プラタナス並木の葉擦れ木漏れ日と戯れている君の前髪
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岬へと続く階段思い切り君の手を取る 僕だけに凪
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君を待つカフェでの虚無とコーヒーとときをうめてくエリック・サティ
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夕焼けの色を模写したまるい花 梅雨が忘れていった紫陽花
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遠くから途切れとぎれに聞こえくる公約の声自習教室
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この空の延長線上 梅雨と夏 争う音かからのかみなり
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梅雨明けの間近の空の片隅に銀に輝く雲を見つけた
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あと少し君と一緒にいたいからわざわざ歩く遠回りの道クリティカルパス
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金曜の6時間目は上の空貴女に会いたい小さなこの孤悲こい
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梅雨の午后古文の授業は教科書が海月の骨の御扇になる
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ニュースには茶を摘む人ら新緑グリーンをこぼさず集め八十八夜ファーストフラッシュ
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誰も居ぬ茶畑にも日燦々と降り注ぐ昼八十八夜
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桜散る一ひら二ひら舞い上がり枝、木、道、風、僕をピンクに
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目の前の君が見えないほどに散る桜並木を並んで歩く
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出来るなら奪いたかった東京へ旅立つ君の学割切符を
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来年度使う重たい教科書の知識こぼさぬよう持ち帰る
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