沢海 嵐川
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新潟の大学生 拙い歌があなたに届きますよう

二人掛け電車の座席で寝る君の跳ねた前髪そっと手で梳く
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君の手を寄せる勇気が出ないのは繋げば僕が短絡ショートするから
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「夕立だ!」子どもみたいにはしゃぐ君今日は二人で濡れて帰ろう
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鈴懸プラタナス並木の葉擦れ木漏れ日と戯れている君の前髪
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岬へと続く階段思い切り君の手を取る 僕だけに凪
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君を待つカフェでの虚無とコーヒーとときをうめてくエリック・サティ
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夕焼けの色を模写したまるい花 梅雨が忘れていった紫陽花
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遠くから途切れとぎれに聞こえくる公約の声自習教室
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この空の延長線上 梅雨と夏 争う音かからのかみなり
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梅雨明けの間近の空の片隅に銀に輝く雲を見つけた
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あと少し君と一緒にいたいからわざわざ歩く遠回りの道クリティカルパス
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金曜の6時間目は上の空貴女に会いたい小さなこの孤悲こい
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梅雨の午后古文の授業は教科書が海月の骨の御扇になる
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ニュースには茶を摘む人ら新緑グリーンをこぼさず集め八十八夜ファーストフラッシュ
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誰も居ぬ茶畑にも日燦々と降り注ぐ昼八十八夜
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桜散る一ひら二ひら舞い上がり枝、木、道、風、僕をピンクに
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目の前の君が見えないほどに散る桜並木を並んで歩く
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出来るなら奪いたかった東京へ旅立つ君の学割切符を
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来年度使う重たい教科書の知識こぼさぬよう持ち帰る
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桜の樹枝の先から色づいていつかの君の指先みたいに
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沓の音、身体つ音高らかに祈りは響く達陀の夜
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白の梅かほりかすかに咲き誇る天満宮へ飛ばんとばかりに
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うたた寝にもう会えぬ人現れて泪が軌跡を頬に図示する
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ふたりぼっちグレープフルーツ色の空風は飯の匂いの街角
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単語帳、ノートを見返す隣の子平和な戦士は入試へ向かう
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二年前の僕もここへ立っていた入試の朝の三番ホームに
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雪とけてできた大きな水たまり映る私と鳥と春風
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簿記検定対策をする君からはカタカタカタカタ電卓の音
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公式の海や古文の山々に彷徨いながらの期末考査
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通学の無人の駅のベンチ脇誰かの作った雪だるま独り
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