化石
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いったいどういうことなんだ?

さみしさは鈍い記憶の奥底で揺り起こされた懐かしい音
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透明な器を作り日々の中ひしゃげたそれを荼毘に付しては
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流水がお湯になるのを待ちながら小さい頃は神様がいて
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野良猫は意外さのためそこにいる 景色に突如まろやかな点
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もう二度と惨めだなんて言わないでカーテンの波ずっと眩しい
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うずくまり肚の内にはあの時の正しい方の自分が爆ぜる
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ありがとう悲しくなんてないんだよもしも私が人間ならば
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半身を別人にしてお互いがお互いだけの唯一ゆいつの味方
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かつてなき最高音の耳鳴りが脳をまさぐり模す女の手
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今はもう朽ちた翼の幻痛が悪天候にぐしゃりと歪む
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そうやって両手を取って回ったら僕の世界はただ君ばかり
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許される気持ちを教えられたいの?いいよ飲んでも赤い液体
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剥がされた皮膚は羽化した蝶に似て守られることを前提とする
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「もっと見る」押してみないと見えません 怨嗟も海に靡いた髪も
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どうですか歌はお気に召しましたか 世界と同時だと幸いだ
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届かない言葉を胸に眠るより涙の意味を探して生きる
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どきどきは「動悸」が由来の言葉だと思い至った夏の日ぐらり
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一色で己を解って欲しいなど三千年みちとせ生きてお言いになって
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極彩のロングショットの合間には染み出してきたあの日の陰り
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蓋を閉めないといけない夜だった もう日が昇ることのない丘
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窓の枠越えたならさあ愛の国 好きや嫌いは飴とおんなじ
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出かかった言葉は息にすらなれず瞳を少し回して果てる
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いつのまにあなたは夢のなかのひと 褪せゆくものは色だけでよい
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心臓に白いフリルを縫い付ける 汚れた羽根はちぎって捨てる
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呼ばれたらいつでも側に走るのに 許されたならすぐに泣くのに
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上知らず下を見ずには生きられぬ溜息ひとつ色は紫
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どうですか 前より上手くなったでしょ 息継ぎ漏れて散らばるあぶく
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永遠は記憶の中で息をする もうじき終わる冷たい夜更け
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切先が通って緑の花のいんたしかに私ときめいていた
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特別に招待状をあげましょう「みんな」に入れなかった君に
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