Utakata
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鷹枕可
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歌誌帆所属。飢えた獣(短歌連作)を募集中。アクセスは
mitzho84@gmail.com
まで。自由の敵に自由を許すな。
猶、短歌は歌であると共に、一行の詩であると考えております。
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密室劇。誰が争ひ誰が撃たれたかなきがらの兵卒三つほどかさなりぬ
3
民族的忘却の末
(
四月尽のハロウィン。
)
ヴァルプルギスが衣装ぺらぺらの化学繊維の合皮
4
柘榴実れる人工庭園の一角に信仰深きことは信仰深き
3
エリカ黄色に咲きシベリア抑留に死せる俘虜同胞を売り祖父帰る
2
框へと積む花樗はなびらの宵夜おとづれぬ遠縁の死の通達
2
黄疸の眼球一個捌かれて皿に仰向くピエタが許にて
1
新約物語に十二匹の蟾蜍ありぬを完膚無きまで叩き潰しぬ
1
飼育流刑室1725号に星図渦巻虜囚へと降る脂粉かな
1
憂愁夫人加はりゆきぬ葡萄の咽喉越えて鉱物の恋標本箱へ
3
敵と敵相容れざるに仏蘭西装の製本断裁されず綴ぢぬ頁
3
嬰児虐殺起こしき落雹の血に穢れレメクの復讐七十七倍
2
裂帛の悲鳴に怯み若き牧夫血迷ふばかりに羊屠し損ず
1
みづから罪受くるべし右翼憂へどもたち靡く百合の黄に染み
1
斯くて支配樹立されたるも市民の凡そ三〇〇〇〇〇〇袋
1
地上戦殲滅に正義掲ぐるも車輪の下なる若麦ひしぎて
4
聖十字軍編成の馬筋骨の隆々たり戦争に駈られて
2
「ローゼンクランツとギルデンスターンは死んだ」など見るものか曼荼羅花異邦にて匂はし
2
産業機械油に錆びぬ櫛歯の目歴史とは殺戮のくりかへし
2
枯れゆくはいともたやすき柘榴の頭もて喰らふをよごしぬ指に
2
洗礼盤へ降り頻りゐる項強き民の金合歓が散りぼふ
2
咳嗽に銀歯まじりぬひゑびゑと書房ゴヤより挿絵が届く
5
秋竜胆むらさきそみて衣手になだれうつ信仰篤き隣人とわかれ
3
基督に酢は澄みかへり受難曲愁嘆場より青年離れ
1
隣人は敵ほろぼせるまで互みにも解釈違ひの黙示録誦す
1
戦争に秋深まりぬ咲き及ぶ石蕗の先しがみ付く蟷螂
4
たがための瞋りならむか葉鶏頭襤褸にて立ち枯れぬガザ報復
3
修辞さへ前衛さへなき簡単で啖呵をきつてくれるな餓鬼よ
1
仕留むるべき領野あやまたずに見做しつかふるに価するや日本
3
ひとつとて詩歌なさざる夕にゆびアスパラガスのしらうをそろへ
10
修羅の仔も修羅 行列に編む詠草に紛れたる紙魚を潰しぬ
拇指
(
おゆび
)
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