灯屋
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学びの旅から帰ったら皆さんまた灯屋を迎えてくれる?

鈴虫を柔くにぎって包み込み 月の高さでよき声を聴く
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流れ星見つけし僕の願いごと 何ひとつ叶えてくれぬ夜
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冷えている麦茶をのむとさらさらと ぼくの体はせせらぎになる
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濃厚に接触したる蚊を叩き 噴水の飛沫浴びて帰れり
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箸先でまろぶはサラダのプチトマト朝日の熱を編み込んで食む
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手を洗い令和二年の葉月尽く 木のスプーンにて氷菓も締める
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さわったら すいかってやつ いきてたの あたしねこだし すいかこわいし
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すれ違うそのたび胸に灯がともるぼくの前世はきっと夕焼け
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いつだって夜には星がありました 濁らないまま生きていけたら
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猫になり喉をグルグル鳴らしつつ「お利口ね」とか言われる暮らし
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ごめんねを言っても言っても言い足りず許しを乞うのに飽きてきた感
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一人だけ 家で帰りを 待つ僕は 旧暦十月 留守神恵比寿
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街角を曲がるくらいのたやすさで小野が蹴られる教室の隅
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階段を登りて開けた窓からは校舎に空が青く流れて
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隣席の患者の所作にいらつくも医大待合いつもの如し
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蔦ごとく腕にチューブが絡まりつ華は咲かねど紅は血の色
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干からびてのたうちまわるミミズ見て我と重ねてうなじが焼ける
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透明な夏のたまごを生むサイダー サドル使わず立ち漕ぎでゆく
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返されたテストを喰らうシュレッター 紙屑泳ぐ肺魚が見てる
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向日葵の友は太陽だけでなく夜には夜のフィボナッチ数列
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不安だよ、語りかけても笑わずにぼくの目見つつ紫陽花は咲く
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エリンギを松茸と母に教えられ信じきってたわりと最近
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レジ袋中身ニジマス父さんの長靴片方川に流れる
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すじ雲は塩であっさりすすって食す シロップなどは言語道断
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水滴が煮立った油で跳ねたよに 七年前は何してたと 蟬
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少しだけ仲良くなった塾友がカンニングしたと澄んだ目で言う
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暮れかかりひとけがなくなる教室の僕の席には僕すらいない
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喧騒と昼の放送聴くふりで君をみている一時十分
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小利口な口上ばかり上手くなり喉仏には恥といふ文字
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空き地にてWiiではあり得ぬ友の情「やめろよ磯野」と中島がいう
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