Utakata
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但馬吟
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妻、われの小さき庭にあから
曳
(
ひ
)
く朝日ふふみて
花櫚
(
かりん
)
は黄なり
7
ベル型の桐の花咲く
五月
(
さつき
)
雨に
行潦
(
にはたづみ
)
はじくふたつ靴音
5
いつからか失くしたものにわが
労
(
いたは
)
る心なきやとポケツトまさぐる
5
あかねさす陽のしたたかな堤にて春負け味の食
麺麭
(
パン
)
食
(
は
)
める
6
ダアリアの
釦
(
ボタン
)
のごとく咲きゐたれ しばし眺めて
倦
(
う
)
める心かな
7
鎌倉や鶴岡なるやしろ
路
(
ぢ
)
を いにしへびとに心馳せつつ
6
芭蕉葉
(
ばせをば
)
の傘下に街灯ながめゐる女、横目にその脇あゆむ
7
一重なるタヲルを巻きて飲み干せし珈琲牛乳 飲めど飽かぬも
7
湯あみせば
仄
(
ほの
)
と匂ひてあから曳く肌を包みしタヲルは白し
7
銭湯のちんぽこ
多
(
さは
)
に揺れてあり 人間もまた動物なるや
4
葉洩れ日をあつめひるがふ
紋白蝶
(
もんしろ
)
のつがひ追ひ往かむあだし野の
径
(
みち
)
10
紫の天蓋おろすカトレヤの一輪にさへも人を思ほゆ
7
洋蘭はひとつひとつが
娘子
(
をとめご
)
の秘めし危うき園にかも似る
8
受けてはすて、受けてはすてし桜花。踏みしだかれて濃ゆきその花
7
棕櫚
(
しゅろ
)
の葉はささらささらに揺れ揺れて実なる
無花果
(
いちぢく
)
ちらちらと見ゆ
8
りんごパイひときれ齧り、カフェーなる窓の戸たたく聞く
雨礫
(
あまつぶて
)
8
鈍色
(
にびいろ
)
の午後なれば
外
(
と
)
にも出でがたき 仕方なきにとあんずジャム塗る
11
葉影よりとび出でし蜂ぶぶと飛び、くれなづむ道。とび逃ぐ、われは!
8
冬ごもり晴るる野辺にし出でくれば わつと
蕗
(
ふき
)
の
薹
(
たう
)
あまたあらはる
7
花ぐはし桜降る夜の山々を越えさりくればあとははかなく
5
白秋も利玄啄木牧水もわれは愛してやまずなりけり
6
あかねさす日野駅降りぬ 女学生ら靴音たてて明日を忘れて
5
悲しびはびいどろにかも似たりけむ。くはしくかぎろひ、うち解けぬゆゑに
6
縷紅草
(
るこうそう
)
散らまく惜しき
鈍色
(
にびいろ
)
の雲を重みか耐へかねて散る
10
春を思ふ、ただ春を思ふ。枇杷の木の黄なる実熟す春の日を思ふ。
6
底冷えの街頭の隅にあかあかと甲斐なき思想灯りてすぐ消ゆ
9
あから
曳
(
ひ
)
く朝日ふふみて
花櫚
(
かりん
)
なると黄なる実に添ふる白き手を
思
(
おぼ
)
ゆ
5
埃あつき
机
(
き
)
を払ひのけて頬杖をつきて思へり ただ春のこと
6
「美しい。」そんなことばを言いわけに、すき放題する
虚無主義者
(
ニヒリスト
)
の
業
(
ごう
)
7
「一生」とかっこつけつつ、ほんとうはその一瞬がうれしけりゃいいの
7
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