但馬吟
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玉すだれ プレスコードに偲びかねて 何処吹く風に身をまかすらん
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おほげさに春の木立をゆく君はうつくしくありさびしくもあるか
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紋白蝶とび交ふ野にし出でにくれば 草流れしてわれもうち解く
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ひもすがら芍薬花を据ゑ置きし少将のこころ小町知らずも
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我がこころ、此の頃なりて虫喰ひの跡は無きやと胸を探りぬ
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きらいだった。ブラトップとか靴擦れとか、わたしみたいできらいだった。
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いつかわたし、こころ一つで縫ってできた歌集をだすこと夢かもしれぬ。
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家庭。家庭。その名憎しと研ぎし刃の刃先を向けるところなかりき
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流れ往く雲を歌へば日々日々のつまらぬ心も流れ往くかな
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「IQは20ちがうと意思疎通できないってさ。」 ニワトリうなずく
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校舎裏 匂ひさぐりて寄りくれば虫食ひの葉の金木犀あり
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あな臭し!オーデコロンをまとひたる女の軌跡に鼻をつまめり
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あから曳(ひ)く陽のやはらかき堤にて菓子麺麭(パン)食(は)める少女さぶしも
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思ひ出は、心の花の泳ぐやう。言葉の雲を縫ひつけるやう。
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忘れゐし人の名を思ひ出だす時 借りし金のことも思ひ出だしき
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心ありてわれに施しせし女の眉の太きを忘れずにゐる
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それなりの日にそれなりの生活を志してはそれきりの日々
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日々思ふ つまらぬ者はわれなるか、われを分からぬ人々なるかと
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地球(ほし)を憂み バテンカイトスに眠りたる母のくやしさ 子は知らぬかも
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在りし日のカルテンコオル 背を向けてぎたる爪弾く象徴主義者(シンボリスト)よ
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《春と修羅》──文字の漂ふ、花冷えに。文字の漂ふ、《春と修羅》とぞ
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椎(しい)が木にころり、ころり。と生(な)れる実を食(は)める鵥(かけす)が頬(ほ)の黒きこと
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夕餉すませ 風の吹きたる家庭(いへには)にたははに実る柿は哀しも
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幼きにかげおくりして並びたる傍(かた)への影は今はあらぬか
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はろはろに流れてゆきし白雲の数あるごとにわれは憧れむ
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哀しびは氷雨の如く 畳(たた)なづくわが柔膚(にきはだ)をふかく刺したり
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千年の鈍(なまくら)を研ぎて来し槿(むくげ)が わが髄脳に藍(らん)の匕首(ひしゅ)さす
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牧水のうたはやさしき 白妙の衣干すてふ家庭のごとし
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わくらばにその一輪を据ゑおきて去(い)にし人の名 知らまほしき哉(かな)
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とこしへに眠らむ姫の黒檀か わが口付けに起きもせでゐる
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