但馬吟
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歌よめば吐瀉を吐き終へ床につくごとき安寧を心に感ず
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酔ふことは頭の中に灰つもり払へど払へど中身なきぞかし
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負け犬と自身を標榜せし歌に何の得あるや?唯の道化や?
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肝心をらずそののちはまほろばに君を求めむ幽霊とならむ
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「もう、いいよ」かく云ひ云ひて一点の肝心なことは云はぬ歌あり
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丹頬につら少女をとめほろろに花恥ぢて檜扇ひあふぎかざし小路かうぢゆくかも
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喪失こそ美しい過程と思わぬか。友人説きぬ。われ頷きぬ。
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薄暮れの天蓋うつす真鏡澄みて流るる浅川流る
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花梨の香は、桃、梨、いづれに似つれども花梨の香なり。独特の香なり。
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花梨黄なり。黄なる花梨をざくざくと割きて煮て詰めてジャムをつくりぬ
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あからく朝日ふふみて花櫚かりんなると黄なる実るに妻よびに
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わが心いつゆ何ゆゑ凍てにけむ つゆ思ひつかず風ぞ吹きたる
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紅茶茶碗ティカップふたつ並むころあから曳く朝日ふふみて花櫚かりんは黄なり
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角障つのさはいはに吹きつく風寒み浜が千鳥そしきり鳴くなる
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劔太刀つるぎたち踏めど踏まねどはえこそ え伝はなへば我が死ぬましじ
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公園の白き倉庫のらくがきは「オカマ星人市川参上」
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ながし髪ゆひして妹がつくりけむおさげ髪しく朱牡丹の咲く
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あかねさす紫繻子ぱあぷるさてんにくるまりて王女の真似をす吾子、父は馬車
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へいへいと時は過ぎぬるわが家に平安くづすごと郵便来ぬ
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乳当てのすこし小さくなりぬてふ父には云はず母には云へり
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吾子あこふたりいひつけりぬ室内で衣服たためり平安おだやかな春
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わが妻と吾子あこらがわれの健康を思ひやりして酒を呑ませず
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丹頬につらをとめがまろき乳さらし乳当て干せるやをら春の日
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湯あみのち欄干バルコン出でし娘子をとめごよ夜に浮かぶるけだもの、白き
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新しきロウファーこつこつ音たてて女学生、駅ゆ出陣せるよ
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鳳仙花 おれに死ねとし云ふがごと赤く咲きゐる赤く咲きゐる
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人工の雲よりもまだ天然のガードレールの方が白い朝
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口語文語交互に一つ二つつ歌つくりしてなべて破りぬ
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歌よまむと歩けど何も浮かばなし。雨音聞きても何も浮かばなし。
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思ふこと歌にせむとし思へども言葉少なきに辞書引き出でつ
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