湯呑み
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日記くらいの気持ちです

静けさを感じたことがありません 嵐の前にひとりきりでも
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向き合った君にヒヤリとしてしまう 涙みたいなヘッドライトが
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自らが詠んだ短歌を見直して新解釈を見出したとき
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喉奥で必死になって絞り出す 祈りのような「おはよう、元気?」
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輪郭が淡く溶けだす水族館 水槽モーターと一体化
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色々と恵まれてるねといわれると全ての不満が形を失う
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助手席で きみに気付かれないように 生命線を爪で延ばした
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虚空から言葉を引き出すきみの手が舞ってるようでしばらく笑う
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大好きな作品を見て詠みたくなる ペンを取ったら出てこなくなる
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美味しいか?それは何より タバスコと君の小指は冷蔵庫の中
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「手伝って!」カードに増えてく春色のシールを指にニンマリの友
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いつまでも寝れぬ夜に悩まされだし巻き玉子に包まれながら
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「霧雨もこんなに降ってしまっては可愛げないよね」 「誰目線だよ」
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無機質な廊下に漏れる産声に土砂降りの音 拍手のように
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「黄巻きまき、黄巻きまき黄ま…黄巻きまき」噛みくり返しバス待つふたり
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ごわついた髪と一緒に編まれてるミサンガのような『大丈夫』の声
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「円安ねぇ」呟く初夏の居間の母 物知り顔でキリリとした犬
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双眸に嵌った月が透明な私の先の誰かを見ている
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万全の自分を信じるためだけに手のひらの魔法陣を飲み込む
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石段に染み込む君の細胞と あたしの間に契約ひとつ
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つばめがとんだ後を見ていた もちろんそこに燕は居なかった
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「目が似てる」そう言われてもわからんが 中の景色が同じだといいな
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質問に質問で返す悪癖も君の愛だと甘んじてやる
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おにぎりと豚汁だけの昼飯も君が作れば完全食だな
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「蜂蜜とラム酒を少し入れるだけ」 再現できないホットミルク
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脱力し布団に預ける全身と毛布の境はすでに曖昧
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ちゃんとした飯を食えよと言う医者の 今日の昼はinゼリーと聞く
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メガネ棚 買わぬメガネを手に取って あの横顔を思い浮かべる
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海水で濡れた裾見る片割れの 帽子の影が深海のようで
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甲板に干された白い波の上 鼻歌交じり進むペンギン
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