彩雲2
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小夜衣まとひ臥所へ雨の蝶 消へぬ灯の影のさみしさ
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深山路の奥の奥処へ鹿鳴けり 色づく山を震はす如き  
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雪被く穂高の嶺のジャンダルム ただ厳かに人を拒めり
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神楽月ビルの谷間へ昇りくる 瞬く星を従へながら
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鶺鴒が尾を上げ走る交差点 黄の点滅に急ぐ靴音
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主なき寂光院の散紅葉 苔の衣にそっと重ねん
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引き際は男の美学花擬宝珠 次の蕾へ席を譲りて
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池に満つ時雨の水輪メゾフォルテ やがてピアノの静寂へと消ゆ
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哀しみの疾走雪ほたる舞ふ日 戻らぬ日々の白き闇見ゆ
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鶺鴒が渚に残す表意文字  読み解けぬまま迫る黄昏
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寒紅を差し越前の和紙を漉く 息を凝らして明日へと紡ぐ
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雲路へといざ飛びゆかん浮寝鳥 銀河の岸へ翼広げて
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喉元に沁みる一滴新走り 辛口のキレ五感ふるはせ
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茜さす影絵となりし子守柿 母の背中へ夕日がにじむ
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ガウディの尖塔に射す三日の月光のアート夜に浮かべり
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石鎚の鉄鎖を握る神の留守 手のひらに満つ鉄(くろがね)の冷え
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秋ともしセピアに暮るる古書の市 めくる頁に若き日の影
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美々しぅも出逢ひし秋の水路閣 紅染むる君の横顔
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天窓を覗きいざよふ三日の月 夜空旅する小舟の如し
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信楽の歪みし皿へラ・フランス どこか似ていて二つの孤独
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葉洩れ日に紛れ消へゆく秋の蝶 ひとひらの影庭に残して
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早贄(はやにえ)を刺して飛び立つ鵙の影 それも恵みの賜物ならん
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落し文美(は)しきため息匂ふごと 幾夜を重ね紡ぐ恋歌
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火渡りや無心の我に出会ふとき 我といふ名の執着を棄つ
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神鹿の眸(め)に吹き抜ける秋の風 耳をそばだて何を聴くらむ
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十九社の留守をあづかる祈り虫 神なき秋の風を聴きおり
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生者死者ともに踊りしマチスの絵 魂の輪の中吾も混ざりて
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鍵穴を探す揚羽や百舌鳥古墳 閉ざされしまま時は流れて
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語らひもいつしか途絶へただ見つむ 牡丹焚火の青き炎よ
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大鷹の孤高の翼百里基地 ステルス宿す影の静けさ
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