Utakata
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彩雲2
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嬉しさもやがて哀しき茄子の牛 見送る盆の夜風寂しも
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店仕舞ひ今日を限りの紅とんぼ 次の止まり木どこへ羽ばたく
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ゲルニカの裏に透けたる敗戦日 不戦の誓ひうするる国に
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今はもう知る人もなき宇宙塵 網代の島のチャート語れり
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億年の羽ばたき止むる琥珀の蚊 今も触るれば動きだすらん
5
卒塔婆に色なき風の吹きつけて 亡き人を恋ふ声に哭き出づ
7
百名山登ってみたき蝸牛 角を突きだし雲海望む
5
過去よりも短き未来蟬しぐれ あと何度聴く真夏の調べ
11
鬼やんま渡る一条戻り橋 わが身ひとつの影を連れつつ
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巻き方は母の遺伝子捩じれ花 少し不器用な愛のかたちか
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黄昏に深く祈りぬ神なき世 されど明日の光を待たむ
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立ち止まり風の私語聴く蟻の列 何処へ運ぶか小さきひかりを
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法師蝉のこる命の持ち時間 傾ぐ日差しを惜しむが如く
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知る人もなき故郷や盆の月 祭りのあとの寂しさに似て
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夕闇へいのち繕ふ蚊食鳥 宙のほころび縫ひ閉づるごと
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火の雫籠から落つる鵜飼い船 短き夜の夢のはかなさ
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帰省する北へ特急カシオペア 流れる街の灯数えて
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闇へ描くひかりの草書蛍舞ひ 君に宛てたる文の如くに
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炎天下出番ためらふ鳩時計 時間(とき)は満ちてく羽を震はせ
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哀しみに半減期なし原爆忌 胸の奥処に響く黙祷
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千の向日葵一瞬の神隠し ひかりの中に溶ける幻
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落蟬やなおあふむけに風を漕ぐ 果っる間際のいのち揺らして
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墨色を水が導くその様は祈りに似てる孤独のかたち
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もう二度と戻らぬ無明せみの穴風一陣が埋めてゆくなり
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蝉時雨杜の緑を震はせて 一陣の風吹き抜けてゆく
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チェロ背負ふ後ろ姿や兜虫 明日の舞台へ羽ばたかむとす
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点と線闇を曳き合ふ恋ほたる 刹那の光とはに刻みて
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背の丈が縮む炎暑の影法師 ビルを抜けゆく風に救はる
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吊り忍「元気しちょんな」母の声 受話器の向こう風が吹き抜く
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心葉を添へる老舗の鱧料理白き一輪椀に咲きたり
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