彩雲2
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秋あかね日の名残りをば翅に閉じ 影絵のごとく空を横切る
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曼珠沙華どっと燃え立つ巾着田 緑の風に波打つ炎
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流鏑馬の先頭駆ける女武者 蹄のひびき大地を揺する
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またひとり逝く陽炎の向う側 揺れる視界に君の背探す
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聴きに行く添水の木霊詩仙堂 胸のざわめきいつしか消へて
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一夜茸ジブリの森のエトランゼ 胞子散らして朝に消へゆく
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さらぬだに淋代の海雁渡る vのサインに裂ける夕空
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雨粒をひかりに変へし美女柳 日暮れの空に名残りとどめて
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特攻の兵のほたるに逢ひにゆく 誰にも告げず無言館へと
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かたつむり進化の謎は左巻き 鏡の国へ迷いこんだか
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ひぐらしの声薄明に散乱し 一番星のまたたく宙へ
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後れ毛に風を欲しがる曼珠沙華 乱るる糸の朱(あけ)を揺らして
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秋ともし大和坐りの観世音 一歩踏み出す御心ひめて
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蕗の葉の傘に入りゃんせ夕暮れの狐嫁入り濡れてゆく径
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生かされて今が幸せ喜寿の秋 ともに歩みし妻に感謝す
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手賀沼へ闇を引き込む牛蛙 咽ぶあぎとを震はせて鳴く
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メメント・モリ生は愛(かな)しき蜃気楼 余白を零る心の記憶
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残照の光の海へ去ぬ燕 季節の終はり告げる羽音よ
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走る車夫秋の栂尾(とがのお)高山寺 木立の奥に鐘の音ひびく
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一叢の水引草に風立ちて 細き花穂のおどる夕闇
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鉄鎖攀(よ)ず石鎚山のご来光 祈りの声に混じる風音
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言ひ渡す執行猶予蚊のなごり 消へぬ痒みをただ掻きむしる  
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言の葉に潜む棘あり薔薇の花 迷ふこころの空鋏
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会得する葉隠れの術青蛙 じっと動かず苔になりきる
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草紅葉フォッサマグナの傍に揺れ 深き断層隠しゆく秋
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たたむ翅おはぐろ蜻蛉店仕舞ひ ともる灯りに揺るる川風
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隅田川暮色ふかめし都鳥 川面に揺るる夜のともしび
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今生は銀河の旅の途中下車 ひととき愛づる青きこの星
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まとふ光(か)ゲ一カラットの草の露 触るれば消ゆる朝の幻
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空失くし帰心一入(ひとしお)鴫なけり 我が胸を突く羽音かなしも
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