彩雲2
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人の世の嘆きを乗せて濁りたる印旛の沼に月影沈む
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待ち人来ずただ秋冷の音信(おとづれ) 夜半に更けゆく虫の音かなし
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弥陀ヶ原池塘に揺るる草紅葉 神の遊びし庭かと思ふ
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来島のクレーン長く首延ばし 秋の入日を吊り上げしまま
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【秋の白糸の滝にて】 ひと日毎八入(やしお)の雨に染まる秋 朝霧はれて浮かぶ紅
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人はみな心に夜叉を薪能 面(おもて)の奥の涙は知らず
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海鳴りは地球の鼓動波枕 闇の底より夜を震はす
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夕闇にいのち繕ふ蚊喰鳥 生くるはいつも綻びながら
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鎌倉の化粧坂にぞ伏兵の 苔むす岩に滲むおもかげ
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水の上駆ける忍者のあめんぼう 波紋の術で消へて行くらむ
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神楽終へ神も人へと戻る朝 一服の火に緩む面よ
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塒(ねぐら)から餌場へ朝の雁の棹 日の出の帯を横切ってゆく
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嬰(やや)の掌を透かし見入れば初もみぢ 握る指先愛ほしきかな  
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月影を硯の海へ沈むれば 明けゆく宙の蒼きまたたき
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古都はいま燃へ立つ炎散紅葉 水に流れて朱の河原へ
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滑空す白鷺一羽白樺湖 光を帯びて水面を滑る
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徒然なか犬と戯る秋渚 寄せる白波ともに跳び越へ
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秋桜軽やかに舞へ円舞曲 夕日の丘をピンクに染めて
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うっすらと浮かぶ輪郭三日の月 抱く分身黒きゆりかご
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持ち時間細りゆくなり虫時雨 あと幾たびの秋を数えむ
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水底の流水紋や水の秋 ひかりの砂を篩う揺らぎよ
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寂し音のひびく軒端の秋風鈴 部屋の火影に影の揺れつつ
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はたた神地には戦火の収まらず 神の鳴動なお小さきか
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露草を摘めば褪せゆく宙の青 二度と戻らぬ日々の煌めき
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帰る雁われも旅人帰去来(かえりなん) 今宵の宿は何処なりしや
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とんぼ釣り遠き思ひで蓮の池 水面をかすめ飛ぶ影ひとつ
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裂帛の声たからかに秋の鵙 研ぎすまされし冷たき刃
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パスカルの賭けはロジック吾亦紅 神の不在を証明できず
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茜から紫苑へかはる日の名残り 巻き戻せない今日がまたゆく
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朝霧へしづもり眠る由布の里 蹄の音の遠き響きて
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