彩雲2
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雨の夜ノラと名付けし子猫抱き 小さな鼓動の胸にひびきて
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回転木馬(エルドラド)今は何処や星流る 何時かまた会ふその日を信じ
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人はみな影連れ歩む秋遍路 祈りの声は空(くう)に溶けゆく
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鷹渡り睨みを利かす関八州 孤独の空に風をしたがへ
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教会へ向かふ喪服の揚羽蝶 祈りの窓に影を落として
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海猫(ごめ)啼くや明菜の唄ふ難破船 すがりつくべき愛もみへずに
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巫女の舞終へて少女に戻る夏 ポニーテールを揺らして駆ける
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印結ぶ殿さま蛙結跏趺坐(けっかふざ) 大化けの術今ぞ極めん
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音軋む二連水車の廻る鄙 遠く聴こへる蜩の声
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銀河濃し宇宙の渚発電所 青き地球(ほし)へとひかり送らん
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ミスリムの恋はうたかたソーダ水 弾けて消へてあとも残さぬ 
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谷根千の夕焼けだんだん見下ろせば 路地の向こうに灯がともる
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余呉の湖水脈曳く二羽の残り鴨 墨絵のなかに淡く溶けゆく
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遥かなる昭和の匂ふ書を曝し 懐かし見入るわが初版本
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刻(とき)に色ありと思へり酔芙蓉 うつろふ日々を胸に刻みて
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黄金虫とどのつまりのブレイキン 黄金の羽を散らして踊れ
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繻子(しゅす)まとひ光を反し飛ぶ揚羽 最期のワルツ踏むが如くに
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「なんじゃこりゃ」巨匠も叫ぶ火焔土器 祈りの渦が胸を揺さぶる
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原子炉の町で生きてく二羽の蝶 進化の果ての墓標に遊ぶ
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松虫は秋の昼間を充電す 背中合はせの螽斯黙(もだ)
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垂直の登攀(とうはん)雨のかたつむり 重き宿世を背中にしょって
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秋ともし紅指し指で引くルージュ 孤独を愛づる戦化粧か
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朱鷺わたる佐渡金山の遊女墓 故郷(くに)をはなれて眠る寂しさ
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砂に描く風紋かぜの置手紙 上書きするもまた同じ風
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爽籟や穂高に高きジャンダルム 雲を従へ天を衝くごと
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活けられしコスモス風を見失ひ 揺るるカーテンじっと見つむる  
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布良(めら)の海歌碑に寄り添ふ白日傘 ひとりの夏の終はりを告げる  
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巡礼の風は甍の上渡り かすかに響く鈴の音あはれ
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雅なる名を授かりし式部の実 紫玉を連ね秋を飾りて
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白樺の峠湧き立つ鷹柱 息をのむ間に空へ消へゆく
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