彩雲2
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雪しまき小樽運河の灯揺れ 涙も凍る北の別れ路
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風に乗り翔ぶ一条の蜘蛛の糸 新天地へといのち運ぶも
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降りてきし天使の梯子冬隣り 祈りの続く時流れゆく
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気嵐よ「来てけらいん」や気仙沼 湯気立つ海の街のぬくもり
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雪吊りの縄の調律人の技 風が奏でん五線譜弾き
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銀鱗と化して芒のうねりをり 夕日のなかの幻のごと
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人生の秋の紅葉は枝離れ 調べにのせて最期のダンス
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日の名残り翅にたたみて秋茜 染まりゆく宙身にまとふごと
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母は逝き啼ひて弔ふ三十三才(みそさざい) 小さき胸の張り裂けんばかり
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心まで見透かすような小望月 言葉をなくし窓辺に立てり
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齢ひとつ重ねるたびに二人なる かけがえのなさ思ふ秋の日
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雪被く穂高の嶺のシャンダルム 人を拒みし白き要塞
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出雲路へ神々こぞる神楽月 主(しゅ)なき庭にも風の渡りて
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余白の美かな文字うれし落し文 明日のフライト我は旅立つ
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音信(おとずれ)のいつしか途絶ゆ鬼やんま 住所録からつと消へゆきぬ
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埋め尽くす宙の渚へ鰯雲 藍の深みに消へゆく薄暮
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伏姫の涙の雫やまぶどう 誰も知らねど色づきにけり
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神様が慌てて出雲ゆく時に 絵具蹴飛ばし照り紅葉
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肱川(ひじかわ)のすさぶ気嵐白き闇 やがて消へゆく冬の幻
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夏終る恋はうたかた砂時計 指のすき間を零れ落ちゆく
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寄居虫(やどかり)は身丈に合はせ衣更え 背負ふお家(うち)は小さくてもよし
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壮大な無駄かも知れぬ爆ぜる蒲 秋の終りを急かすがごとく
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雄叫びは吾にもありぬ鵙猛り 響き途絶へし後の寂しさ
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神無月不在の神の名は呼ばず 己のなかの声を聴きをり
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水の秋二輪水車の廻る鄙 ただひたすらに時を刻めり
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彼岸にて待つ人あらば旅路さえ 嬉しくもあり楽しくもあり
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咲きぬれば散りゆくさだめ萩の花 誘ふ風のなほもうらめし
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さよならの切なさなれば口にせず 齢百歳くちなしの花
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はんなりや蛍火茶会の闇動き 胸のほたるをそっと放たん
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秋桜を風あるように活けし午後 部屋の空気のふわりと動く
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