彩雲2
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落蟬やなおあふむけに風を漕ぐ 果っる間際のいのち揺らして
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墨色を水が導くその様は祈りに似てる孤独のかたち
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もう二度と戻らぬ無明せみの穴風一陣が埋めてゆくなり
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蝉時雨杜の緑を震はせて 一陣の風吹き抜けてゆく
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チェロ背負ふ後ろ姿や兜虫 明日の舞台へ羽ばたかむとす
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夜半の夏蠍座(さそりざ)西へ尾をしづめ アンタレスだけ赤く残して
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点と線闇を曳き合ふ恋ほたる 刹那の光とはに刻みて
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背の丈が縮む炎暑の影法師 ビルを抜けゆく風に救はる
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吊り忍「元気しちょんな」母の声 受話器の向こう風が吹き抜く
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心葉を添へる老舗の鱧料理白き一輪椀に咲きたり
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カフェで飲む海の暮色のソーダ水グラスの底に夜が満ちゆく
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語らねば消ゆ歳月や原爆忌語り継ぐべき聲の重たさ
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