Utakata
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蟇田いちを
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弱き者叩くはさらに弱き者 おそらく今が日本の夕暮れ
12
人の死に乗じて叫ぶものありて 祈りのしじま消える八月
7
手間かかる冷やし中華は一瞬で喰い終わるなり人生に似て
9
工場に迷うて来たる黒猫は
総務課長の苗字
(
く ろ だ
)
で呼ばれ
12
側杖
(
そばづえ
)
をかわす構えの無きにして 唱える理想の
虚
(
うつろ
)
なるかな
8
堪
(
た
)
え難し
癇走
(
かんばし
)
る声なお高く
魂鎮
(
たましず
)
むべきこの八月に
10
ドア横に立ちて譲らぬ
木偶
(
でく
)
の眼は 髄抜かれたる
根管
(
こんかん
)
の闇
9
飛び込まん
羽虫
(
はむし
)
のひとつ
篝火
(
かがりび
)
に
灼
(
や
)
かれつつみるイカロスの夢
10
デフレ去り往復ビンタのインフレで使わぬ金の更に減りたる
8
満身にデフレの毒の回りたる 使わぬ金は増えることなく
7
災難に耐えて花実が咲くものか 家に縛られ
斃
(
たお
)
れるなかれ
10
枝分かれ
2のべき乗
(
2 ^ n
)
の可能性くぐり抜けたる今日の凡庸
3
花びらを裂きて額に貼りつける
立葵
(
たちあおい
)
なり
鶏頭
(
けいとう
)
ではなく
7
湯に浸かる。
デジャヴ
(
既視感
)
覚えし垂乳根の
胎
(
はら
)
を借りたる最後の朝の
5
遺
(
のこ
)
されし子らはその手を床に延べ 母の温度をかき集めたる
8
東国も雲の歩みの
疾
(
と
)
くなりぬ
いるか
(
dolphin
)
に乗りて
颶風
(
ぐふう
)
きたれり
9
項垂
(
うなだ
)
れて膝の間に過去を追う 西陽に
灼
(
や
)
かれ雲梯の陰
9
抽象と具象の満つる壺ありて 掬い上げんと言葉まさぐる
9
糾
(
あざな
)
われ縄となるべき禍と福の とけて久しく禍に偏りて
9
咲かぬまま
蕾
(
つぼみ
)
にわかに手折られり その手は神のものであるべし
7
窓下ろす CHANELの残り香聞こえ来て 銀座二丁目午前四時半
6
大暑なり かえりみられず太る柿 日を照り返す葉にいだかれて
12
流れ来る 嘘で編まれし
花筏
(
はないかだ
)
ただ流れゆく ソーシャルメディア
8
ビール瓶 玉なす露を身にまといマウンドに立つ球児の
赤銅
(
しゃくどう
)
7
燻
(
くすぶ
)
りし薪より落ちる
灰汁
(
あく
)
ありて 絞り出したるうたの苦さか
12
猫どもの
訪
(
おとない
)
来たる かわいいはかわいそうと紙一重なり
10
古巣にて椅子買い換えんと母五脚 父は二脚で充分といい
7
朝まだき 過ぎたる酒の
香
(
か
)
に
集
(
すだ
)
く 蚊の鳴く声の
太々
(
ふてぶて
)
しさよ
12
上洛す 茶を勧められ礼を言い いけずも識らぬ我
東人
(
あずまびと
)
9
デイケアで喧嘩取り成し
撲
(
う
)
たれたる
義父
(
ちち
)
の遺伝子
担
(
にな
)
いし妻は
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