Utakata
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蟇田いちを
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父親は日々の
費
(
つい
)
えに
敏
(
さと
)
くなり
己
(
おの
)
が天寿をはかる如くに
10
熱量とともに減りたる靴底を磨きつつ見る 日曜の夕
7
米に麦野菜果物肉魚 いのち喰らいて餓鬼道を行く
9
義母
(
はは
)
立ちし
厨
(
くりや
)
に辞世の句を見つけ 入院前の暦の余白の
9
採られたり我が会心ではない方を 選者ではなくアルゴリズムに
8
お茶の間の洗脳装置作動中
不安煽られ
(
たにんのふこうに
)
チャンネル変え得ず
7
今日もまた連ねし緩き言の葉の 竜に非ざる画に点睛す
9
団塊と共に去りつつあるらしき テレビ 宗教 革新政党
6
神をすて己を
恃
(
たの
)
み栄ゆども
傀儡
(
くぐつ
)
のままに八十一年を
9
大雨の特別警報発布さる まさしく狂犬チーバくんなり
6
銀翼は貞山堀を掠めたり 松原の跡ようよう緑に
5
みちのくの
即身仏
(
ミイラ
)
鎮まる板敷に
番
(
つが
)
う
椿象
(
カメムシ
)
来世を想い
10
時来たる!起て
唐土
(
もろこし
)
の農民工 汝ら既に失うものなし(二度目は喜劇として)
2
恋愛と依存のあわいを漂うは チェキに投げ銭シャンパンの泡
7
ひさびさの法事に集う人々に 我が容貌の
プロトタイプ
(
試作品
)
見ゆ
8
枝豆を求めて列なす人々よ 食い意地深き我もその
裔
(
すえ
)
8
砂浜で二人の姪はそれぞれに 陽は
海坂
(
うなさか
)
を染めて沈まん
10
きょうだいの帰省の時期は重ならず 親の張り切り知るなればこそ
14
老親は草花の鉢移したり 帰省の車ここに停めよと
13
八月のビラを配りし老闘士 郷愁ありやロシア
糺
(
ただ
)
さず
8
精算に並ぶカートの連なりは帰省を待てる
鄙
(
いなか
)
の八月
13
ともだちは家族で帰省すると言う放置子 きみが帰るは
何処
(
いずこ
)
9
八月の取るに足らぬ日 台風の気配が猫の神経なで行く
11
回想はガラケー並みの解像度 思い出補正はAIを超え
8
開眼す 意識清明発語あり第九病日独歩退院
5
ひかがみは薄明写し きざはしを踏む靴音の軽きにたじろぐ
7
夜に
倦
(
う
)
む 短き裾で始発待つ
むすめの夏は
疾
(
と
)
く過ぎゆかん
9
肉を焼く
煙
(
けむ
)
に巻かれし甲虫を
放生
(
ほうじょう
)
するは先祖と思い
7
見初
(
みそ
)
められ
嫁
(
とつ
)
いできたという
嫗
(
おうな
)
串を焼き継ぎタワマンに住む
7
乳児らの
俥
(
くるま
)
押しゆく保育士の知るか知らずか
拝一刀
(
おがみいっとう
)
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