蟇田いちを
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父親は日々のついえにさとくなり おのが天寿をはかる如くに
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熱量とともに減りたる靴底を磨きつつ見る 日曜の夕
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米に麦野菜果物肉魚 いのち喰らいて餓鬼道を行く
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義母はは立ちしくりやに辞世の句を見つけ 入院前の暦の余白の
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採られたり我が会心ではない方を 選者ではなくアルゴリズムに
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お茶の間の洗脳装置作動中 不安煽られたにんのふこうにチャンネル変え得ず
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今日もまた連ねし緩き言の葉の 竜に非ざる画に点睛す
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団塊と共に去りつつあるらしき テレビ 宗教 革新政党
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神をすて己をたのみ栄ゆども 傀儡くぐつのままに八十一年を
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大雨の特別警報発布さる まさしく狂犬チーバくんなり
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銀翼は貞山堀を掠めたり 松原の跡ようよう緑に
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みちのくの即身仏ミイラ鎮まる板敷につが椿象カメムシ来世を想い
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時来たる!起て唐土もろこしの農民工 汝ら既に失うものなし(二度目は喜劇として)
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恋愛と依存のあわいを漂うは チェキに投げ銭シャンパンの泡
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ひさびさの法事に集う人々に 我が容貌のプロトタイプ試作品見ゆ
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枝豆を求めて列なす人々よ 食い意地深き我もそのすえ
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砂浜で二人の姪はそれぞれに 陽は海坂うなさかを染めて沈まん
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きょうだいの帰省の時期は重ならず 親の張り切り知るなればこそ
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老親は草花の鉢移したり 帰省の車ここに停めよと
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八月のビラを配りし老闘士 郷愁ありやロシアたださず
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精算に並ぶカートの連なりは帰省を待てるいなかの八月
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ともだちは家族で帰省すると言う放置子 きみが帰るは何処いずこ
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八月の取るに足らぬ日 台風の気配が猫の神経なで行く
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回想はガラケー並みの解像度 思い出補正はAIを超え
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開眼す 意識清明発語あり第九病日独歩退院
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ひかがみは薄明写し きざはしを踏む靴音の軽きにたじろぐ
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夜にむ 短き裾で始発待つ むすめの夏はく過ぎゆかん
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肉を焼くけむに巻かれし甲虫を放生ほうじょうするは先祖と思い
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見初みそめられとついできたというおうな 串を焼き継ぎタワマンに住む
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乳児らのくるま押しゆく保育士の知るか知らずか拝一刀おがみいっとう
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