Utakata
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蟇田いちを
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みちのくの
即身仏
(
ミイラ
)
鎮まる板敷に
番
(
つが
)
う
椿象
(
カメムシ
)
来世を想い
10
時来たる!起て
唐土
(
もろこし
)
の農民工 汝ら既に失うものなし(二度目は喜劇として)
2
恋愛と依存のあわいを漂うは チェキに投げ銭シャンパンの泡
7
ひさびさの法事に集う人々に 我が容貌の
プロトタイプ
(
試作品
)
見ゆ
8
枝豆を求めて列なす人々よ 食い意地深き我もその
裔
(
すえ
)
8
砂浜で二人の姪はそれぞれに 陽は
海坂
(
うなさか
)
を染めて沈まん
10
きょうだいの帰省の時期は重ならず 親の張り切り知るなればこそ
14
老親は草花の鉢移したり 帰省の車ここに停めよと
13
八月のビラを配りし老闘士 郷愁ありやロシア
糺
(
ただ
)
さず
8
精算に並ぶカートの連なりは帰省を待てる
鄙
(
いなか
)
の八月
13
ともだちは家族で帰省すると言う放置子 きみが帰るは
何処
(
いずこ
)
9
八月の取るに足らぬ日 台風の気配が猫の神経なで行く
11
回想はガラケー並みの解像度 思い出補正はAIを超え
8
開眼す 意識清明発語あり第九病日独歩退院
4
ひかがみは薄明写し きざはしを踏む靴音の軽きにたじろぐ
7
夜に
倦
(
う
)
む 短き裾で始発待つ
むすめの夏は
疾
(
と
)
く過ぎゆかん
9
肉を焼く
煙
(
けむ
)
に巻かれし甲虫を
放生
(
ほうじょう
)
するは先祖と思い
7
見初
(
みそ
)
められ
嫁
(
とつ
)
いできたという
嫗
(
おうな
)
串を焼き継ぎタワマンに住む
7
乳児らの
俥
(
くるま
)
押しゆく保育士の知るか知らずか
拝一刀
(
おがみいっとう
)
13
西の陽に蒸されて籠る草の息 宵の西瓜を抱いて歩まん
9
AIの
脆
(
もろ
)
さ憂える人類よ
汝
(
なんじ
)
ら
識
(
し
)
るや神の悩みを
6
弱き者叩くはさらに弱き者 おそらく今が日本の夕暮れ
12
人の死に乗じて叫ぶものありて 祈りのしじま消える八月
7
手間かかる冷やし中華は一瞬で喰い終わるなり人生に似て
9
工場に迷うて来たる黒猫は
総務課長の苗字
(
く ろ だ
)
で呼ばれ
11
側杖
(
そばづえ
)
をかわす構えの無きにして 唱える理想の
虚
(
うつろ
)
なるかな
8
堪
(
た
)
え難し
癇走
(
かんばし
)
る声なお高く
魂鎮
(
たましず
)
むべきこの八月に
10
ドア横に立ちて譲らぬ
木偶
(
でく
)
の眼は 髄抜かれたる
根管
(
こんかん
)
の闇
9
飛び込まん
羽虫
(
はむし
)
のひとつ
篝火
(
かがりび
)
に
灼
(
や
)
かれつつみるイカロスの夢
10
デフレ去り往復ビンタのインフレで使わぬ金の更に減りたる
8
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