蟇田いちを
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詮なしと打ち棄てられたる鉢ひとつ 月下美人いざ綻(ほころ)ばん
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地域猫 宵の口まであやしたる 七歳男児は放置子なりや
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落武者がタイムスリップして現代に定着したのがクレーマーです /五蘊斎 雲握さま
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詠むうたの厭世(えんせい)にむけ傾きつ 猫の訪(おとな)い絶えて久しく
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夜蜘蛛にねぐら貸したるアンテナの もたらしたるは悲報ばかりなり
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驟雨衝(つ)く 番(つが)わぬ鳩の声低く などてこの世に生み落とされしと
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後出しのジャンケンばかり強くなり 戦(いくさ)に負けし民の定めか
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反抗はその対象への依存(アディクト)だと 葛西のマックでインド人が言い
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「友達は失業保険でやってるわ」 NOKKO(レベッカ)は歌いしバブルの頃に
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ディンギーが渚を滑る夏にきて 涙も凍る冬逝きにけり /昼行燈さま
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階層を移動しがたき世に厭(あ)きて 帰依たてまつらんルッキズムへと
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流れゆく日々刻々の微分値は 三十一(みそひと)という素数であると
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滾(たぎ)り湧く岩漿(マグマ)の球の薄皮を 大地と呼ぶに頼(たの)もしげなし
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逝くものは 苦楽の連環脱ぎ捨てし 憐れむなかれ悲しむなかれ
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花火への電車華やぐ浴衣にて傘は握れどその手は握れず
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倒木の脅(おびや)かしたる払暁は 売別荘地に看板朽ちて
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カメムシの棲みける戸板の狭間にて 恋文の反古(ほご) ひらかれるを待つ
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 嘘 回 答 (ハルシネーション)とり繕いたるAIの 自己防衛こそ人間顔負け
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野辺送り。 盛夏の午(ひる)の鳩の声。 おさなご呼ばわるアンパンマンを
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定時すぎエナジードリンク求めたる さながら令和のヒロポン中毒
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Amazonに返金求めるかの如く 新入社員は退職願を
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鼻先に地球の引力感じつつ 騙(かた)るピノキオ スマホを握り
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亡き人の生活スマホに在り続け 法要墓石遺骨(たましいのないぬけがら)むなしき
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日曜の午後の日差しが呼び起こす オルガンの音 カレーの黄色
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警察の調べによれば 容疑者 (トクリュウ)は 羅生門から来た タイムマシーンで
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虫襖(むしあお)の新幹線にて帰りくる 右手に煌々 ミ ヤ リ サ ン の文字
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熊が出る トクリュウ(おいはぎ)跳梁跋扈する 文明などが後退(あとずさ)りする
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巨星堕つ ヒュフテヴィッセンシャフトラー(尻  学  者)と呼ばれし碩学 山田五郎が
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「多様性」 (ダイバーシティ)尊重したる弊社では 主張ばかりが百鬼夜行す
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青田より炎(ほむら)の如く立ち昇る 陽に炙られし泥のため息
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