しっぽ
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拾い上げるほどではないけれど
眺めるには退屈しない程度のものを。

ひっそりと朗読をはじめました。
https://www.youtube.com/@Sippo_4

春先が 残酷だとは 聞いてない わたしを置いて 傾ぐオリオン
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春をゆく 東風とミモザと 鵯と 月の呼び名を よく知るあの子
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細い風 さざなみ達を 引き連れて 泡沫の夢 波はまぼろし
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狂い咲き 寒月に舞う 桜花 身を焦がすのは 夏だけじゃない
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色のない 潮騒をゆく 浜千鳥 岸に寄せるは 捨てられた夢
13
真白きを 重ねゆくのは 忘れ雪 さえずり達は 風に手合わせ
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掴むべき 雲も未だに 見つからぬ 龍は水底で眠っている
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諦めた 季節に戻る 帰り道 なんて知らない 後悔もない
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手折られた冬の形見の水仙を窓辺へ 春の迷わぬように
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梅見月 降りながら降る 雨の下 あなたとわたし 畳半畳
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拒んでも 逃げて隠れて 無視しても 明日も世界を 羽織るのだろう
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春行きの 路銀はここに 蓄えた 淡い希望で 足りるでしょうか
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からまって 空を目指した 菜の花も いつかほどける ことを知ってる
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ハンムラビ 法典にいま 書き足した 「愛には愛で 感じ合おうよ」
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臆病を 座敷牢へと 閉じ込めて 張り巡らせた 有刺鉄線
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東京が 凍てつくなんて いまさらの 話じゃないか 夜風も白い
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「キミんちの エンゲル係数 上げていい?」 食いしん坊の 決めプロポーズ
9
白い息 流れる先を 目で追えば 君がいるから ここはもう春
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生活に 不要なものを 捨てたらば いつの間にやら 流し満貫
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明滅し 猛る世界に 微睡んで 「ほとぼり冷めた 頃に起こして。」
8
雨傘を たたむ音さえ 大人びて 時の流れを 許してほしい
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型落ちの 愛だの恋だの ほっといて 待ち合わせましょう 月の出る丘
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駆動する 胸の機械に せかされて 閉じゆく夜に コインを投げる
7
終わりなき 罪禍のように 繰り返す アップデートの ポップをにらむ
5
三日月が 私を置いて ゆくのなら 傘もささずに 歩いて帰る
12
ジャズよりも 少し自由に 息を吸い 生きていくため 叩くハイハット
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この心 踊らせるのに 才能は 必要ないと されております
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寒空に 白い溜息 たなびいて さよならだけが 人生だろう
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もうすでに 3%の 辰年を 浪費しました お知らせします
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野良猫が 時間を刻む 足取りで チクタク歩く チクタク歩く
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