しっぽ
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拾い上げるほどではないけれど
眺めるには退屈しない程度のものを。

ひっそりと朗読をはじめました。
https://www.youtube.com/@Sippo_4

号令が 稲穂の森に こだまする 秋は確かに ここにあったと
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ぬくぬくと生きてきたとも知らないで 色づく葉の名さえ知らないで
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空っぽを 慰めるため 積み上げた 三十一文字を 踏み越えてゆく
11
夏場より少し丸みを帯びたのは月より私を見て欲しいから
9
透き通る ような季節の 道すがら 路傍賑わす 野菊の盛り
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秋ツバメ まさかお前は あの海に 投棄してきた 夏の残像
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名月に 見惚れてうっかり 地に落ちた 色づく前の 山葡萄の実
18
みなさまが 綺麗、綺麗と 囃すので 日々遠ざかる 含羞の月
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たなびいて 流れる雲が 五線譜に 捕まり鳴らす 秋の音階
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上弦を 過ぎて満ちゆく 長月が 夏と秋との 境界に照る
10
「本当は・・・」 言いかけ飲んだ 言の葉を 夜空に還す 晩夏の夜更け
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にぎやかな あの者たちは 今どこへ 閉じゆく夏に ヒグラシ一匹
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夢果てた 瓦礫の街で 揺れている 灰の心に 不死鳥が舞う / 終戦
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待ち人の 想いを受けて 起動する 帰らぬ者の 帰省システム
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わぁわぁと泣いているのは蝉だけじゃないと知ってる八月の朝 / 長崎原爆忌
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坂の上 風の行方を 目で追えば ほてりを冷ます アサガオの青
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白百合が かみなり雲を 貫いて 盆へと続く 目に見えぬ道
16
其処此処で ラムネの瓶に 閉じ込めた 夏が噴き出す 陽に溶ける街
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今はただ 風が吹くのを 待っている 犬と私と 錆びた風鈴
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薫風が 揺らした笹の 紙擦れに 願い瞬く 星の水底
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諦めるのか立ち向かうのかでなく 諦めながら 立ち向かってる
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憧れを 切るように降る 青時雨 触るに触れぬ 窓越しの花
9
雨垂れを 含んで笑う 水溜まり そっと呟く 〝 はごろもフーズ 〟
4
雨雲の 向こうは空の 衣替え 大胆かしら 日差しの露出
10
カフェインは 苦手なくせに 珈琲の 香気に集う 甘めな僕ら
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プリズムを 泡が映した 水路脇 虞美人草が 揺れているだけ
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湿り気を 帯びた季節の 幕間で 耐水性の こころが躍る
15
満ちていく 月の光に 嘯くが いつかは欠ける ことも知ってる
13
雨露の 屈折率が ふんわりと 隠した僕の トゲトゲ言葉
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隔たれた フォッサマグナも なんのその 想いを紡ぐ 電子信号
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