Utakata
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晶史
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ソーサーとコーヒーカップがカタと鳴る閉店間際に店主がひとり
6
週末に決戦がある 予備校の明かりは歩道の端まで届く
10
明け方の月は澄たり 悲しくて長い一日始まるしるし
6
一年の計も今年の夢さえもこの先何があるかも知れず
9
年の瀬に夕日が山に沈みますこうして生涯終えるようです
9
三日月のもと嵐電が西に行く冬の空気の闇を通って
6
年末の挨拶に来た我の名を「あきちゃん」と呼ぶ老いた親方
11
交差点青信号を見逃した道の向こうの南天の赤
9
清水(きよみず)のライトアップの一筋は浄土に続くきざはしのごと
8
その時はその時でまた恋がある 田中絹代の映画を観つつ
3
新聞紙輪にしたハンドル運転し 幼な子横断歩道をわたる
11
クリスマス飾りを終えて少しだけこころに隙間のあいているよう
5
白杖を持つ奥さんの手を握り左右確認年老いた夫(つま)
10
半世紀前のことですボックスの受話器を上げた初恋記念日
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ミキちゃんにとても似ていた初恋に 今年の紅白きっと観るべし
3
公園に舞う銀杏の葉一枚を 晶子源氏のしおりにします
9
あの頃は人生の春真っ盛り 秋の夕暮れベンチの思い出
7
十六夜の月に寄り添う木星のような十六のころの初恋
6
長引いた礼拝帰りの自転車を北山しぐれが追いかけてくる
9
秋の月それは寂しいものなのに それより私のこころが重い
4
あめあがり朝の空気はよどみつつ 金木犀のかおりが沈む
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入院の老母(はは)より電話 暑いので植木鉢には水遣るように
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生霊がとり憑いたのか夕顔はつぼみのままで朝を迎える
3
あの月が満ちると夢が叶うらし 人生の夢また一つ消ゆ
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あの時に本屋で立ち読みしなければどしゃ降りにあうこともなかった
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子育ての思いの積み木積み上げる小児内科の待合室に
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その段を読み終えた日にこの夏に初めて開く夕顔の花
2
上空にヘリコプターが飛び交いて初公判の抽選始まる
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腕を組み白杖を持ち歩む道 決して小さくないしあわせが
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生きている間に読んでしまうぞと 晶子の源氏を古書店で買う
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