Utakata
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晶史
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あの頃は人生の春真っ盛り 秋の夕暮れベンチの思い出
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十六夜の月に寄り添う木星のような十六のころの初恋
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長引いた礼拝帰りの自転車を北山しぐれが追いかけてくる
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秋の月それは寂しいものなのに それより私のこころが重い
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あめあがり朝の空気はよどみつつ 金木犀のかおりが沈む
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入院の老母(はは)より電話 暑いので植木鉢には水遣るように
10
生霊がとり憑いたのか夕顔はつぼみのままで朝を迎える
3
あの月が満ちると夢が叶うらし 人生の夢また一つ消ゆ
2
あの時に本屋で立ち読みしなければどしゃ降りにあうこともなかった
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子育ての思いの積み木積み上げる小児内科の待合室に
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その段を読み終えた日にこの夏に初めて開く夕顔の花
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上空にヘリコプターが飛び交いて初公判の抽選始まる
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腕を組み白杖を持ち歩む道 決して小さくないしあわせが
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生きている間に読んでしまうぞと 晶子の源氏を古書店で買う
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お店からもれた冷気か秋風か 朝の散歩の足やや軽く
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傷ついた鳩が一羽で物干しに目を潤ませて佇んでいる
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かみさまの声が遠くにあるように 虫の音聴いて夏を越えます
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エアコンのスイッチとめて今日だけは 原爆で逝くたましい思う
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この街は北に行くほど上り坂 ペダルを踏んで礼拝に行く
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炎天下アスファルト行く蟻のごと あともう少し我慢して生き
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まぁちゃんにちょっと似ているミキがいて「暑中お見舞い申し上げます」
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涙溜めくちびる嚙んで診察を終えて園児はシールを握る
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合宿も期末試験もあらずして 祇園ばやしはときめかざりき
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ようやっと 本葉を出した夕顔の 横に三つ葉の元気なすがた
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辻々の二階囃子が議事録を溶かしてくれる会議の終わり
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夏空の飛行機雲のようだった あんなに早く逝ってしまって
7
卒アルの白黒写真潜(ひそ)ませたフェイスブックのフォルダーの中
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片付けるときが来るまで元気でと祈りこめつつ扇風機出す
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年金の手続き終えて私にも振り返るほどの人生がある
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生きるのがピエロのようにみえる日は夕顔の芽に水をあげます
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