Utakata
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殺したという実感を持てるのも数ミリ以上の虫あたりから
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各人が脳裏の自然を「自然」と言い、「自然に」などと言うので困る
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なんとなくなりゆきとしていつのまにか年寄りを殺すことを選んだ
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六割は水分なのに凍らずに動き続ける生体の群
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人間の遺文を読んでくれるのは人間だけ、か。今のところは。
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「もう一生読み切れないほど本はある。だからもういい」とはならないの。
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血液のように電気を吸い込んで都市が火照っている冬の夜
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雨音が快くある条件として、厳然と屋根の存在。
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こんな子がいたらいじめたくなるよね、と自己客観視などしてる気でいた。
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眠りによりちぎれた私の端を探す こうして少しずつずれていく
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屋根は良い。けれども時に火を放ち空を見ようとするのも人だ。
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雨がまだ雪になれない冬空のような心の冷たさでいた
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指差せばその方向を見る人が何人かいて、たぶん「現実」
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樹も空も知らない。人の眼の中で「冬」を構成していることを。
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ここからは動けないのに十億年後の話ならできる自由よ
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いくら小さく見えようとその中で暮らすしかない世界なのでね
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身体は私を殺す私より私に見える顔でいつかは
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この都市という巣を離れれば死ぬ、と思えば割と蟻にも近い
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合成の誤謬という語の頭韻の(言葉は人より自由だからね)
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「あなたとはわたしでない人」。だからこう言ってもあなたには通じない。
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愛ある誤解、愛なき理解どちらかを選べというなら愛なき方を
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愛の名の下に無理強いしないのが薄情ならば薄情でいい
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生きているとは変わりゆくことであり、つまりは裏切れるということ
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よくできた幻像だからもうそれは彼女と違う名前で呼んで
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コピーしてデータ保存ができたならあなたを閉じてもいいのでしょうか
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生きたまま生まれ変わるのは無理なので誰かが一度死んだのだろう
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「ある」と「ない」では「ない」方に価値があるという前提であり続けたい
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「迷惑をかけず死にたい」というのはまだかけていない前提なのか
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死ぬ、または死にそうになると大抵はいい人にされるのが世間だ
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よく開けるアプリが違えばお互いの「現実」もそれだけ違うのだ
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