まるや
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日常短歌と創作三国志短歌

一昨日の夜から北風に揺れる手洗いしたよそゆきブラウス
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今日こそは大掃除の日奮起したわたしを見つめ腹を出すいぬ
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整然と並ぶ赤白ひろがって準備万端七色の顔
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週末の地獄行きペアチケットは買っておいたわ門で待ってる
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残酷に街灯の下照らされた吐息の声がしっかり見えて
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ひかえめなレースあしらう病院着はにかみ撫でる白髪の少女
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とけてなくならないように閉じ込めた箪笥の中にあなたの香り
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甥っ子が膝に抱えた虫かごは車内に芽吹く夏休みの種
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白かったいぬの背中が色付いて撫でる箇所ほど深くなりゆく
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「このケーキ二十五等分にせよ」新入社員の才能ひかる
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ポケットに飛び込み絡む指があるにんまり笑うきみはカメレオン
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果てしなくあつめて並べ海にしたゆびさきで弾く硬い波の音
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早朝のきんとつめたい窓の外ほほえむきみの白い声が見え
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重ねゆく罪が足りないまたひとつあなたの熱に救われるには
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濡れた刃が翻り止まる 輝きは私を貫かない、決して
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身の程を知らぬ注文悔いる子に颯爽登場偉大なる父
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さあ起きて顔を洗ってブラウスをマスカラはどこ?あなたに会える
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ランドセル揺らして帰る正午過ぎ無人の我が家に玉子焼き冷え
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角まるき宛先未定のラブレター畑の隅で春を待つ灰
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ここにいるずっといるのに見えないのすり抜ける視線ルビンが笑う
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スイッチを入れるためにあるスイッチのスイッチ外れてスイッチ入らず
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街をゆく異国の風に憧れて抱え歩いた祖母の大根
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正午まえ列の伸びゆくタリーズで孤軍奮闘の笑顔まぶしく
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狡猾にしゅるりふところ入り込む人懐っこさ親子三代
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きらめきの黒きやいばに貫かれ焦げたにおいのわが心の臓
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絶景に視線縛られ甘き夢目覚めぬままに足下の崩落
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そっと解き集めたリボン押入れに幼き日々のしあわせ届く
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しずまないネオンのひかりに背を向けてまぶたの裏のわたしだけの夜
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ひとりきり薄い薫りで思い出すあなたが来た日のあざやかな色
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ファミレスの塩に命を救われた鈍行乗り継ぎ夏の東京
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