うるとら凡人
16
22
投稿数
309

関西在住のいい加減オヤジです。どうぞよろしくお願いします。

寄せ書きの皆の言葉に謝しつつも残す事績に何ら悔いなし
13
入社時に買った電卓四十年 役割終えて共に帰宅す
19
陽光に波がきらめくの鞆の浦 繋いだ船の舳先を照らす
15
腕を組みかすかに当たる膨らみに心ときめく二の腕あたり
9
御堂筋並んで歩くこのひとは我がポケットにそっと手を入れ
12
屋久島のモッチョム岳に登り立ち はるか平らの種子島見ゆ
10
宵に逢い深夜の別れは早過ぎて相対性の理論を恨む
9
ツーリングでふと立ち寄りし恋路駅 男同士ではしゃいだ時代
11
中二の姪 自分変えると剣道部 今は優しき救命ナース
12
風雪に耐えて美し桜花 気高くあるもかくも優しい
13
仁徳の現れである過ちを見過ごさずして君子の心
7
改めて読み返すたび新しき発見のある良書は楽し
12
欲深い年寄りこそはみにくけれますますもって我を戒む
10
土いじり手に伝え来る大地の気 心安らぎ元気漲る
15
前栽に並んで笑う水仙の待ちわびた春にぎやかに来る
10
人の名は世界でいちばん短い詩 だから漢字は大事にしたい
9
春なれば水に親しみ山このむ知者と仁者に我はなりきる
7
春暁の光を浴びてあの山の向こうの山の向こうにも山
10
おかげさま春が来ましたおかげさま私の家族もみな元気です
13
持ち帰る仕事を命じ付き合えと酒席に誘う昭和の上司
12
近く見る力士はただのデブでないまるでぽんぽん跳ねるゴム鞠
10
四年間集いし日々を懐かしみ友を見送るフェリー岸壁
11
吉野家の機械で注文するよりもひと声ですむ「大盛り一つ」
16
今もなお幾つも幾つも忘れない子どもの頃の母の言葉を
17
だんだんと記憶薄れる老いた母 かくも時とは残酷なもの
15
眠りこけ終点に着き折り返し元の駅まで戻りし友よ
11
早春の風が和らぐ街路樹は今か今かと芽吹く時待つ
12
夜白み鳥啼きだして朝が来る昨日と違う自分を始む
15
忽然と道が途絶える竜飛崎まさに太宰が見てきたとおり / 『津軽』
14
姪っ子の結婚迎え寂しくも願うは桃の夭夭ようようたらん
11