七つ八つ九つ十
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死角視野160°の世界あり 見えないことを忘れるなかれ
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わけもなく 生きにくくなりカレンダー 捨てたくなる日雨を見ている
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十三時 十分前に起こしてと君眠り 私も寝そうな七分長い
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地の全てナガミヒナゲシ吸い取って 咲いて刈られて燃やされ朽ちる
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この夜に楽しきことを残しつつ 我は眠らんおやすみみんな
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飛び出したイタチの命救われて シートの下に身投げのケーキ
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ネーブルの薄皮剥がし口運ぶ ツバメのヒナに餌をやるよに
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たんぽぽも犬の背中も夏支度 綿毛ポワポワあたり一面
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青梅を食べるんじゃないリード引く 俳句だけどもここに投げちゃう
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高校で時が止まりし友の部屋 日記のような手紙読みあう
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タカろうと我の財布をのぞき見る 「千円も持たない大人がいるの」
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洗い上げ皿積み上げた山の上 今日というひがパチンと消える
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綺麗とか可愛いとかと関わらぬ 老婆に早く我はなりたし
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この場所でこの人たちといる事が 幸せだよとパンジーは咲き
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空色を丸く集めたお薬を 飲みくだしても夜は長くて
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静かなる水面みなもに米は沈みたり 確かにボタン押したるものを
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基本から短歌の勉強やりなおし なんか気軽になんか詠めない
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兄に焼く玉子狙って旋回す カウンター前は君の縄張り
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大小のツムツムとなる子供らに 朝餉(あさげ)作れば辞して帰りぬ
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一昨日の夜に送りしメッセージ 付かぬ既読の余白見つめる
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犬眠る月の明かりに照らされた 腹の上下を見つめるカメラ
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清らかな川に積もりしチリ見つめ 濁っておりとあさましきこと
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でもだって背中に投げてしまうからごめんなさいと今日は言わない
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最後まで聞かずに切った 分かってる 冷めた紅茶は飲みたくないの
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私だけ取り残されているような ニートに近い我が身を思う
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夕方に決まって犬は窓に吠え 不審な長男おかえりなさい
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晴れわたる海を渡ってクジラゆく 鶴の紋もつ白きからだよ
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誓いなどなんにもなんないわ でも繋いでいたいこの手をずっと
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スンとする塩素の匂い吸い込んで舟が進むよ小さな世界
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「古民家の蔵の中から出たものです。」 骨董売りは時をならべる
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