七つ八つ九つ十
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兄に焼く玉子狙って旋回す カウンター前は君の縄張り
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大小のツムツムとなる子供らに 朝餉(あさげ)作れば辞して帰りぬ
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一昨日の夜に送りしメッセージ 付かぬ既読の余白見つめる
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犬眠る月の明かりに照らされた 腹の上下を見つめるカメラ
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清らかな川に積もりしチリ見つめ 濁っておりとあさましきこと
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でもだって背中に投げてしまうからごめんなさいと今日は言わない
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最後まで聞かずに切った 分かってる 冷めた紅茶は飲みたくないの
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私だけ取り残されているような ニートに近い我が身を思う
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夕方に決まって犬は窓に吠え 不審な長男おかえりなさい
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晴れわたる海を渡ってクジラゆく 鶴の紋もつ白きからだよ
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誓いなどなんにもなんないわ でも繋いでいたいこの手をずっと
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スンとする塩素の匂い吸い込んで舟が進むよ小さな世界
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「古民家の蔵の中から出たものです。」 骨董売りは時をならべる
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はねのけた毛布に足を入れなおし眠れ眠れよ母も寝るから
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忙しない春に見るからいいんだよ 散ってしまうよ後日はないよ
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とりあえず食えて払えて上出来じゃん残高忘れて桜見ようぜ
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銀行でみな暗い顔しておりぬ 国会中継と通帳見つめて
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振替のついでの記帳を嫌がった君のとこではNISAやらない
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よろめいて小屋出る犬の瞳には 桜がうつる来年も見ようね
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ホテルから眠った街を見下ろして 一人の夜は楽しい寂しい
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夫婦して塾を忘れて大わらわ 急いで持たすのりたま握り
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目に涙 カラのコーンを握りしめ 落ちたアイスを吾子は見つめる
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新ドラマどれなら二人で見れるだろう 減りゆく会話の種を撒かねば
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実力差 打ちのめされて短歌アカ ただの婆だよ気楽に詠めよ
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月落ちて南の方で犬が鳴くまたお眠りよ車屋の仔
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日常に戻ると不安を思い出す 何でも忘れていたいのに
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チューリップ 土の下にぞ たへしのび 春ふたたびの 咲くやこの花
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この道を 涙あとつけ 歩いてた 今懐かしく 春はうららか
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死に場所に船を選んだ人おもう 最期にうつる海の青さよ
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授業中『春はあけぼの』うわの空 窓辺の君の透ける髪見る
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