五蘊斎 雲握
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詠人不知

胸上の 三毛を撫でつつ 言い聞かす 今日行けば休み いざ出で立たむ
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膝上の ハチワレ鳴らす ゴロゴロに 三毛は傍ら 順番を待つ
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秋風の 雲寄せる先 眺むれば  雲髭生やす 薄紅葉山
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身に響く 囃子太鼓を 聴きながら 庭にてあおる 星見酒かな
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鳶は鳴き おずおず雉鳩 鳴く稲田  雨音続き 音絶えぬ田よ
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秋風に そよぐ木々あり 東野の  薄き黄葉は ゆるやかに増す
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仄暗き 工場内に 一人座し  屋根打つ雨は 作業曲なり
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忘れ物 家に戻りて 猫撫でぬ  心満ちたり 忘れ物忘れ
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雨降られ 濡れし上着を 干しながら  窓辺に落つる 雫を眺む
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畔行けば 裾濡らしゆく 朝露は 田に鳴く虫の 冬の嘆きか
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稲穂満ち 恭しくも お辞儀せば 黄金の風は 穂の波揺らす
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風渡り トンボ群れ飛ぶ 小川原の  湖畔に追えば 秋雲の端 
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小川原の 湖の船人 波に揺れ  心地よき風 水面を走る
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坂道の 木々のトンネル 先の空 雲流れゆく トンボを連れて
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田舎道 轢かれしたぬき 転がりて  我に祟るなと 務めに急ぐ
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夜道征く 雨招ぶ蛙 照らされて  向かい畔まで 無事を願いぬ
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夜に響く 雷鳴花火 雨を呼び  屋根打つ音を 聞きて眠りし
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釣瓶落ち 覆う雲間に 暗がりて  嵐の前の 虫の音細し
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低き雲 茜に染まるを 見まほしき  秋の釣瓶の 落ちゆく頃に
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野良猫の 雨宿りせり 軒下で  なに思う猫 虚ろまなこで 
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予報では 日長一日 雨なりと  務めあらずば 雨読せましも
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朝曇り 地打つ雨音は 朝鶏の  如く鳴くなり いかで止めまし 
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真夜中に ニャン気エンジン 震わせて  頭突きスイッチ 餌やり動く
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風立ちて 雨を告げゆく 風の笛  黒雲の子ら 土を打ちたる
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百薬の 長と呼ばれし 古の  酒に代へなん 薬とならば 
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年よれば 大小なりに 節々の  病みて薬を 朝飯代わり 
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何処から 聞ゆる鈴の 草野辺の  求ど見えず さることあらむ 
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顎のせて 胸上ごろ寝 計るとも  夜の猫餌 蓋は開かずに
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密林で ポチって買った バリカンも  長鋏帰らむ 刈る頭なし
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猫膝に 抱きて背に櫛 通せども  有り余る毛の 頭にぞ欲し
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