お原罪
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万々歳

風呂が好き 古いあたしをなくせるからなくしてよかった、って思えるから
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わたしからあなたの全てよ出てゆけと角質を落とすぽろぽろぽろと
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飯を炊き肉を炒めて汁を盛り さあ、あと誰かが向かいに座すだけ
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この雨がふいに桜を写すとき いつも見上げたあなたを思い
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腰掛けてふたりの手と手が出会うとき それは花びらのかたちをしていて
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春風になれたとしてもこの声は あたしのこの手はあなたの元へは
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早桜美しく咲き散るさまに 貴方を重ねてしまうのはなぜ
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(※ 恋に長し愛に短しこの距離は「中途半端」と訳してもよい)
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将来さきを見て酸しも甘しも言えぬから「自分らしさ」と呟いている
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夜が明けたことにも気づかぬ君と月 気づいているのは朝焼けと我
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暖房ももう一人分でいいの、だからぬるくもならないアイスコーヒー
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この部屋に占める「私」が増えた日の 少し大きくあくびをする九時
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初雪を固めて作った彼だから 春を待たずにいなくなったのね
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七分も貴方の話に割けぬわと 早湯でパスタを手に取って居る午後
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コンタクトレンズ外せど目つぶれど 貴方浮かぶのは網膜のせいか
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「滑るから」と妙な気遣いがありまして 懲役一分半の左手
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ソリになろういや雲になろうどこへでも貴方が連れていってくれるなら
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君とならシャツのボタンの付けづらさも 知らずのまんまで居れたのに、なんて
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明日吾が雪になってもいいようになるべく目立つところにいてね
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唇の渇きも知らぬ恋だった リップの硬さにふと、そう思い
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この雪は私のために降るのだと 私を隠す雪なのだと言う
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重雪よ今は兎に角降りたまへ 二人の時間をまだ留めたまへ
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そうだ今、振り返るなよセブンティーン 知らないままでも、それでもいいんだ
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「それじゃ、また」「うん、じゃあ」それで終わるなら恋は山頂下りがあるのみ
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この雪は貴方の街にも降るのかな そのくらいでいい、二人の交点
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寒空を見上げることしかできぬから 「負けるな」の文字も、今はこのまま
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「大丈夫」「全然平気」「待てるから」深夜の駅前雪だるま一つ
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君の腕君の手君の目君の声脱ぎっぱなしの白い靴下
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粉雪になれたら貴方へ降るからさ、払ってくれるだけでいいから
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初雪の重さに押されて固まって一番古い地層がわたし
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