のぎしり
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定形の日記なのだと思っています

薄雲を透かしてすらも煌煌と降る月雫十五夜を浴み
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見上げればすすきの穂越しひつじ雲帽子のつばに赤とんぼ着き
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他ではなく己に勝てと仏の言う勝てるわけない食欲の秋
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葦のむらなめて飛び去るアキアカネ夕陽に撃たれキラリ燃え立ち
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蕎麦の花薄穂揺れて曖昧に雲に連なる秋の日の午後
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せい高きアワダチソウを縫って舞う紅白黄蝶風に煽られ
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受信トレイトレイにはかたりで来てる【重要なお知らせ】だけが山と置かれて
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柿の木は実もふくらんで重力に耐えかね垂れる緑濃い枝
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秋の田の稲刈終えてひこばえの箕着る群か稲杭の立つ
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熊と蜂看板減って散歩道倒木注意落石注意
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鷺低くトンボ眼の前バッタ跳び蛙ざわつく秋の野を行く
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箸でパンつついて食っているひとに齧れば楽と言えど齧らず
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見つからぬ暫く書かずねたのか木目は楓気に入りの万年筆ペン
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青い月橙の窓唐突に秋は来たらし心地よき宵
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ちょうどいい気温は何度?る風にストーブ買おか思う寒いよ
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畑も田も草だらけなり世話人せわびとをなくして宝原野に帰る
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白鷺とカラスがじゃれる田の上のそのまたうえの筋を引く空
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おつゆどき絵の具を刷毛で伸ばすよな筋引く雲の秋の訪れ
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水枯れてひしゃげた蓮のひらひらと葉の手招きを鷺が見ている
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知らぬ間に稲刈り済んでひこばえのそこそこ伸びて稲杭のもと
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太陽が膨張しては世の終わり想う眩しきお彼岸西日
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顔の前10センチほど赤とんぼ横切って行くはたなかの道
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手招きをするかのように稲の穂が頭を垂れていや、疲れてる?
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中指と人差し指の指先の感触違う中挽きの豆
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年とって何もどうでもよくなってこういうことも辛かったなと
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今日もまた疲れていると飯食って立ち上がれないやれぬことない
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納豆のラベル上のアンニュイな眼差しくらりつい籠の中
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納豆のラベル横の可愛くて貼って眺める甘麹たれ
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予定表空白なれど今日なにかあった気がする誕生日だな
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祖母呆けた母呆けている遠からず来ちゃうだろうと身構えて待つ
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