マンモス
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懐メロと妻子と友と時事ネタと仕事と酒と少しの孤独

帰りても家に入れず冬の宵ママ友の車びどうだにせず
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バックミラーの夕やけ空はあとわずか「帰れ」コールのいいふうふの日
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友だちのつどふ我が家に菓子届けゐない見ないがちちおやのえき
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図書館の駐車場にてつかのまの歌よみねむり歌よみ暮れる
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アリーナの最前席で待つてゐるよみたき歌ははやくも地層
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朝の業知るひらがなをなぞり書き「<に>は<こ>の進化」と子は看破せり
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子が帰り我も帰りてはち合わせ抱きしめられて冬のひだまり
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えらんでもえらばなくても為政者は武器商人のおもはくにのり
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OK」のラインスタンプ シベリアンハスキーずつと舌を出しをり
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犬が死ぬ家路は散歩コースにてふたりだけ入る炬燵たそがれ
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産廃をつぎつぎ放るパッカー車ティラノサウルス手なづけるやう
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あくがれは海のぞむ町昼あそび夜は星ふる浜に手まくら
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歌をよむよめばよむだけ膨らむでいびつな螺旋の器になりぬ
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まあ一杯やれやと水筒のこり湯を鉢の小菊に呑ませ帰宅す
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子がゐない暮らしおしへる霜月の修学旅行おやに寒風
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書きうつす近代短歌写経かな現代短歌はさざなみの夜
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左眼のうへに腫瘍があり生まれ網膜剥離も左眼だつた
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「まつたく」を何度も云いてくたびれてつひつひのぞむなつかしき日々
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仲なほり見とどけられず家をでるつかずはなれず流れゆく雲
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またけふも蛹のままで蠢ひて蝶にもなれず蛾にもなれずに
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たじろぎぬ若人の死の唐突に二人歩いていつもゆく朝
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ここよりは先へゆけないこの恋のかけら どこに埋めればいいの
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係累はありがたくなほわずらわしティッシュがうまく取れずに怒る
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ガソリンの税率かはる冬むかへこつち下げればあつちとび出す
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係累はわずらはしくもありがたく日の出とともに道は混みゆく
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動かない在庫がきゆうに動くとき年末年始のはやい足音
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夕間暮れだれのかなしみ連れてゆくつぶれた店ばかりならぶ道
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群馬ではぐんま名月できづらく青森県産ぐんま名月/スーパーのリンゴ売り場にて
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えらそうに指示だけだしてゐなくなり水筒の蓋ぎゆううとしめる
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気に入つた歌に出会ひて調べれば不勉強にてまさかの地元/渡辺松男
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