Utakata
登録
Login
通気口
フォロー
0
フォロワー
7
投稿数
247
成人。架空短歌。お引越し完了しました。
« 最初
‹ 前
1
2
3
4
5
6
7
…
次 ›
最後 »
散り落ちた金木犀に沈みゆく街に波より軽やかに花
1
衰えを知らぬ紫紺の朝顔は我が十月の静脈に咲く
1
鰯雲 鱗に混じった一枚のねぼけた白い月を指さす
1
鈍痛の汚泥は枕のかたちして窒息するほど嵐のにおい
1
香に酔う雨がしとりと手を伸ばし金木犀を孕み落日
2
幸福の色は白色 くつくつと笑いころげる新米の湯気
1
悪いことしてるみたいに盗み見る横顔いつか宝石になる
2
僕らには酸素が足りない 水槽のシーツに沈み何度も喘ぐ
1
放課後にくるくる踊る影長く かえるおうちのない子供らの
1
彼岸花 すがる葉もなく一筋に仰いだ天に火花の如く
2
あけすけに老いさらばえた白百合に清きくちづけおとす朝露
1
オレンジのお日さまみたいなコスモスがやがて抱かれる未知の冬の死
1
秋色の葡萄たわわに連なってわたし一粒消えても誰も
0
はじめての答え合わせを 繰り返し夢のあなたを記憶した手の
0
心臓の真ん中刺して永遠に傷跡残すメールが、今
0
あの夏の忘れ物箱に入れたのは麦わらだけではなかったはずだ
1
きみのまだうまれるまえも夕暮れはあかあかきみに恋してたんだ
0
硫酸の雨の果てにはサファイアの夕焼けが待つ火星の大地
0
くらやみのラジオで誰かの思い出の古い知らない音楽を聞く
0
ああ君が隣にいない傷なんて忘れるほどに美しい月!
1
触れ合った音だけ拾えば抱いている君の寝息が世界のすべて
0
つきあかり 眠れるすべてのこどもらのおでこにやさしいやさしいキスを
1
忘れてる気がする帰るべき場所を かんばせあかく染めて残照
1
開かれる紙の扉の向こうがわ 山手線が雨を聞いてる
0
清潔な真昼のテレビは被害者を無限ループで殺し続ける
0
顔をあげ誇れにきびの傷跡も あばたの梨の甘き香りを
1
過ぎ去った暦の薄皮ひとつ剥き雫滴る葡萄の九月
0
潔く晩夏に散った虫どもを無粋に弔う青き冬瓜
0
ギヤを上げ加速していく直線は次の夏までつながっている
1
常夜灯 いつからお前はいやらしい女を照らす光になった
0
« 最初
‹ 前
1
2
3
4
5
6
7
…
次 ›
最後 »