Utakata
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宇佐木 芙和子
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今の気持ちをここに留めて、あとで思い出せるように、詠んでいきます。
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自販機の缶スープ開け立つ湯気は 寒空浮かぶ雲となるらむ
0
悲しみも別れもいまだ 知らぬ間に いっそ露と消えてしまいたい
1
唐揚げの皮に ぱりっと噛みつけば 弾けて じゅわん
沁
(
し
)
みわたる 夜
2
キンギョソウなぞに ゆめゆめ惑ふな アサリナは此処に咲き渡りける
0
何方
(
いづち
)
にも
塞
(
せ
)
くかたありて
憚
(
はばか
)
りて
泪
(
なみだ
)
に沈む 夜の冷たさ
2
たをやかに まなざし向ける君の志を
垣間見
(
かいまみ
)
すれば風立ち騒ぐ
2
君が胸とどろく音のこころよさ 瞼のとばり やや下ろしつつ
0
彼にこそ知らめ と艶めかせし爪 思ひ及ぶるとき 待つ乙女
1
真夜中に こっそり握って 頬張った 塩おむすびの 味はとくべつ
4
あかねさす 眠れる君の
居懸
(
ゐか
)
かるる 外寒かれど 我が肩
温
(
ぬく
)
し
1
つづら折り耐えて差し着く
頂
(
いただき
)
の 気の
清
(
さや
)
けさに 雨もまた良し
1
目合はせて 指触れ絡め 頬寄せて ひとひらごとに 重ね重ねて
2
逢ひたしと 夢に下燃ゆ 夜を越えて 朝陽に染むる 紅き唇
0
澄みわたる 空に燦然たる星と まがへし飛行機の灯火よ
1
恨みても悔いても帰り来ぬ日々の 夢は現に 心は空に
4
ひそやかに にほひ
燻
(
くゆ
)
らせ
山茶花
(
さざんか
)
は
裾
(
すそ
)
ふくらかに ひらひらひらり
1
あないみじ いきたふなし と嘆けども迫る荒波 この袖濡らす
0
月火水木金巡る 待ち遠し 土日の暇 たまゆらなれど
1
忘れ去り凝りて冷めぬる古
懐炉
(
かいろ
)
君が手取らむ 未だ温きを
0
泡沫
(
うたかた
)
の 生まれて
撥
(
は
)
ぬる 一
刹那
(
せつな
)
然
(
さ
)
ればこそ咲く 花は美し
1
逸早く
燻
(
ふす
)
ぶ炎に胸焦がし立てる煙は華と昇るる
2
秋風に ふと
熱
(
ほとほ
)
りし わがこころ もて煩ひて しのぶるは
憂
(
う
)
し
1
触れられぬ触れてはならぬ花ゆゑになほ
匂
(
にほ
)
ひたち心を乱る
8
彼の人を心ならずも打ち思ふ振り子の幅は揺れ広ごりて
3
小望月
(
こもちづき
)
照る蜜色の甘やかに
蕩
(
とろ
)
けたゆたふ影はかぐはし
0
時刻む針は情けをも知らず午前零時を淡々と過ぎ
1
あの山に響く列車の通過音 ノスタルジーを置き去りにして
2
妖月を見上げる息の白白と溶けゆく宵の寒さよろしう
0
つねならぬ日々に抱けるうたかたの一つひとつを留めむと詠む
4
ささめきて ひらり と舞える言の葉に 込めし
霊
(
たましい
)
きらり と光る
2
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