宇佐木 芙和子
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今の気持ちをここに留めて、あとで思い出せるように、詠んでいきます。

自販機の缶スープ開け立つ湯気は 寒空浮かぶ雲となるらむ
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悲しみも別れもいまだ 知らぬ間に いっそ露と消えてしまいたい
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唐揚げの皮に ぱりっと噛みつけば 弾けて じゅわん みわたる 夜
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キンギョソウなぞに ゆめゆめ惑ふな アサリナは此処に咲き渡りける
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何方いづちにも くかたありて はばかりて なみだに沈む 夜の冷たさ
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たをやかに まなざし向ける君の志を 垣間見かいまみすれば風立ち騒ぐ
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君が胸とどろく音のこころよさ 瞼のとばり やや下ろしつつ
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彼にこそ知らめ と艶めかせし爪 思ひ及ぶるとき 待つ乙女
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真夜中に こっそり握って 頬張った 塩おむすびの 味はとくべつ
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あかねさす 眠れる君の 居懸ゐかかるる 外寒かれど 我が肩ぬく
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つづら折り耐えて差し着くいただきの 気のさやけさに 雨もまた良し
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目合はせて 指触れ絡め 頬寄せて ひとひらごとに 重ね重ねて
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逢ひたしと 夢に下燃ゆ 夜を越えて 朝陽に染むる 紅き唇
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澄みわたる 空に燦然たる星と まがへし飛行機の灯火よ
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恨みても悔いても帰り来ぬ日々の 夢は現に 心は空に
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ひそやかに にほひくゆらせ 山茶花さざんかすそふくらかに ひらひらひらり
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あないみじ いきたふなし と嘆けども迫る荒波 この袖濡らす
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月火水木金巡る 待ち遠し 土日の暇 たまゆらなれど
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忘れ去り凝りて冷めぬる古懐炉かいろ 君が手取らむ 未だ温きを
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泡沫うたかたの 生まれてぬる 一刹那せつな ればこそ咲く 花は美し
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逸早くふすぶ炎に胸焦がし立てる煙は華と昇るる
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秋風に ふとほとほりし わがこころ もて煩ひて しのぶるは
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触れられぬ触れてはならぬ花ゆゑになほにほひたち心を乱る
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彼の人を心ならずも打ち思ふ振り子の幅は揺れ広ごりて
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小望月こもちづき照る蜜色の甘やかに とろけたゆたふ影はかぐはし
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時刻む針は情けをも知らず午前零時を淡々と過ぎ
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あの山に響く列車の通過音 ノスタルジーを置き去りにして
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妖月を見上げる息の白白と溶けゆく宵の寒さよろしう
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つねならぬ日々に抱けるうたかたの一つひとつを留めむと詠む
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ささめきて ひらり と舞える言の葉に 込めしたましい きらり と光る
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