あんころ
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ゆっくりのんびり。

眠れぬ夜 身体の中で馴染みのない音が流れる ザーザーと
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口元を指せばおはなと答える甥っ子 全てをまるっと愛す
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ヨーグルトをゴゴガと呼ぶ甥に 昔の私を重ねる母の目
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本捲る指のささくれに気付く 貴方は気付かないでちょうだい
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どこからやり直せばいい いつまでも新卒 毎月胃腸炎
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あの人たちは知らないでしょう 私が毒も煙も吐くことを
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生きづらい行きづらい息つらい会社に電子タバコ持つ 無敵
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地面を追うばかり そんなんだから木の枝にも負けるんだよ 大人
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ブランコで怪我よりもブランコが怪我しないか気にする 大人になる
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頭の中で言葉という水を泳ぎつつ親指瞑想する
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ゆうやくんの影はいいなあ こぼしたカフェモカで笑われないもの
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明日あすすみ未読みどくくろ ローカルテレビは明るいのでダメです しりとり
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毎日好きでいるのってしんどいの カレーライスだってそうだもの
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やめたはずの電子タバコがフリスビーのように戻ってくる 光
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満月の夜風 幸福を拒むのですか ならば降伏しなさい
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いつも名前を思い出せない花がある 別名は曼珠沙華
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また連絡しますね。使い使われた言葉がまるで遺書のよう
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眠れぬ夜 まるで百合みたいな言葉に囲まれ窒息の心地
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三錠半半の薬で構成される身体からだ明日あすは海へ
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隙間風の音を子守唄に 冬用の言葉を抱きしめ眠る
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あなたの孤独は油の味ね 私のは真っ黒焦げのオムレツ
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今日の夜はどの孤独を食べようかしら あかあおきいにむらさき
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グッズの少ない推し 売れすぎなのか 売れないのか そっと掬うように
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独り言を全て書き留めるように短歌生まれる 朝はもうすぐ
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ヴィランの血管には青信号の色が流れている 夏空
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指輪を照らすように天高く繋ぐ手 指を透ける月の光
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吸い続けた香水がザラザラザラと舌の上を蠢いている
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吸い続ければその人の体臭に届く 香水なんて無駄さ 
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目が合わぬことを指摘されない それだって優しさの一つなのよ
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満月にスマートフォンのライトを当ててみる  大負けの真夜中
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