カギザキ + 7
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十数年ぶりの短歌復帰です。

頼むからこれを着てくれ『ぷりちゅあ』も『ちんでれら』だって乾いてないのだ
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ジャケットの中からあなたの思い出を 見つけて気付いて固く眼を閉じ
9
取り敢えず背負った者らのある夕餉 グラス挟んで笑い起こるも
5
「そんなもんよくある話だ」と言われ よくある話の主人公となる
16
恋なんてしないと言っていた友の質問「5歳で塾とか早い?」
6
「おはよう」と寝惚けて言えるその距離に君と居たいと願っていても
10
憂鬱な雨の朝でも君だけは ぱんと拡げた青色の空
8
越えられぬ恋心ならば粉々に細かく千切れて飛んで行かぬか
11
「噛んでいい?」問われて頷く肩口に食い込む犬歯きりり刻印
4
寒くても両手は出して君の手を握り包める人はそこにいる
2
春の陽に揺られた駅に思い出す 雪の降る夜と頬の熱さと
7
「ちょっとだけ…」僕は羊の皮被り 遊び慣れてる君 猫かぶり
5
寄り添って歩く誰かの幸せを微笑ましく見る自分に安堵し
7
君の持つシャーペンひとつが愛おしく想えるそれが恋なんだっけ
7
あなたとの愛の終わりの告ぐ朝日 男と女を他人に戻す
4
泣かせてはいけない心を持つ君の代わりに泣いてよ月曜の雨
5
この部屋に置き去りされしヘアピンに 絡まりおるか唯一の君
4
若過ぎた日々とはきっと十字路の真ん中に立っている様な気持ち
8
トーストの焼ける匂いを乗せ風よ朝日にかかる雲を開けよ
8
向けた背を掴みきれない残るのは手のひらのうえの乾いた砂粒
8
くちづけて愛を誓ったひとに今「オメデトウ」なんて拍手している
13
好きだって何度も聞いた でも君は 愛しているとは言わなかったね
5
帰らない いつかのあの日のくちづけを 待った日の雨も晴れた行こうか
3
最終の 電車に揺られて愛されぬ こと知る二人が並んでおりぬ
6
君の声 近くに聞いていた だから 傘の中の僕は 雨を愛した
5
長き影 引きちぎり駆ける吾子の背と 影を引き摺り歩く吾の背と
5
君とまた 笑顔で逢える日はたしか 四月三十一日の夜
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