Utakata
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カギザキ
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十数年ぶりの短歌復帰です。
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「お姉ちゃんドレス♪」とはしゃぐ幼子は 黒い喪服で跳び跳ねており
9
六年の死地へと向かう病床は 肉だけじゃなく希望をも削ぎ
7
紙袋二つと白い骨の壺 こんなに軽い旅路じゃなかった
11
見たことのあるような柄の
T
シャツを手に取ってみる値段見てみる
10
引き出しの奥に見つけし手紙束 十九の我らとしばし語らう
12
許し合い抱き合い眠る日々想う そんな二人の恋愛錯誤
7
夏と秋 季節と共に訪れる 二人の変わり目 かぜに気を付けて
6
たぶん今日 初めて会った人なのに 誰に似ている誰を見ている
7
てのひらの上に残りし土の香は 遠くなりゆき八月の原
9
真夜中の電話だれかにとって今はたった一人のひとかもしれず
6
微笑んでいるしか出来ないこの声の限り叫べば届く恋なら
7
ありふれた言葉ひとつに踊らされ それをまた君は恋と呼ぶのか
6
初恋という二文字を耳にして 振り返り見る君と誰かと
9
僕のこと見つめうつむきまた見つめ 少し笑って貴女は告げた
6
君の飲む姿見てるとひらがなの響きが似合う『みるくこおひい』
5
ソックスをたった一足洗えれば あなたの今日はきっと百点
8
憧れた華やかな灯にうずくまり 君は生まれし町を夢見る
10
「図々しい」なんて文句も入れられたコーヒーがいつも妙に美味しい
6
励ましは時に重荷となる事を 今さら気付いた父親がいる
16
ものがたり ある青年が恋をした どうでもいいけど でも物語
10
人からは 素敵な人とも 映るだろう 本当は過去に 絡まる我らも
5
大切な 何かを失い 青空や 花々が鈍く染まること知る
6
君がいた 写真で確かに残ってる 薄い薄いもの でも残ってる
6
言っとこう 人は他人を見ちゃいない 鏡像の中の自分があるだけ
7
長袖も 真夏の真ん中 パーカーも 別にいいんだ 君の色なら
4
その腕に何本も残る傷跡は 君が戦い生きてきた証し
3
だからこそありがとうと思ってる這いずりながらもここにいる君
5
僕たちが壊れる事も覚悟して 君は捲った ブラウスの袖
3
冴えないと 君は自分を見てるけど きっと誰かは眩しく見てる
9
生きていくただ人して生きていく それもまた難しくて夕暮れ
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