カギザキ + 7
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十数年ぶりの短歌復帰です。

長男が生まれた朝に後悔す 酷い時代に落としたものだと
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末妹とのままごとだってちゃんとやれ 子供騙しで子供は騙せぬ
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去りゆくは他人の背中だ女は言う ないものねだりの貴方はいらない
5
僕の声聞いてか聞かずか窓際で 君が見つめた桃色の空
7
日の入りの早くなりたる秋空に 雲は流れて草花舞いて
8
通販の僕には小さいニット帽 娘に被せて可愛い親馬鹿
14
揺らされて口づけしても爪を立て そんな痛みも恋しく秋風
7
『父親は泣かないもの』と信じてた 五歳児ドアに手を掛け佇む
12
長き脚すらりと伸ばして水溜まり 跳び散る水玉 湧く湧く歓声
5
親が死に僕が死にゆき 子が続く 順番通りだ泣くのは終わり
12
明日の朝 いつもと同じに世は動き テレビは笑顔を映すのだろうか
5
あまりにも あまりに簡易な納骨儀 最も恐れたひとが散りゆく
10
頬に触れ 雪かきの後の母の頬と 同じ冷たさ まぶたが痛い
11
あなただけ抜け落ちた世に咲いた花 場違いなほど高過ぎる空
8
「その人が好きなら言えば?」「いま?」「ちょっと… ここにはあんたとあたしだけだよ?」
6
青春と懐かしがるには酒の香と女が匂う海を見る道
8
喪主という名だけは立派な我の背は 頼りなさげに見えただろうな
13
「お姉ちゃんドレス♪」とはしゃぐ幼子は 黒い喪服で跳び跳ねており
9
六年の死地へと向かう病床は 肉だけじゃなく希望をも削ぎ
7
紙袋二つと白い骨の壺 こんなに軽い旅路じゃなかった
11
見たことのあるような柄のTシャツを手に取ってみる値段見てみる
10
引き出しの奥に見つけし手紙束 十九の我らとしばし語らう
12
許し合い抱き合い眠る日々想う そんな二人の恋愛錯誤
7
夏と秋 季節と共に訪れる 二人の変わり目 かぜに気を付けて
6
たぶん今日 初めて会った人なのに 誰に似ている誰を見ている
7
てのひらの上に残りし土の香は 遠くなりゆき八月の原
9
真夜中の電話だれかにとって今はたった一人のひとかもしれず
6
微笑んでいるしか出来ないこの声の限り叫べば届く恋なら
7
ありふれた言葉ひとつに踊らされ それをまた君は恋と呼ぶのか
6
初恋という二文字を耳にして 振り返り見る君と誰かと
9